FC2ブログ

根津の根付屋 & Gallery 花影抄 blog

東京・根津にある主に現代根付、立体作品をご紹介しています、Gallery花影抄のblogです。
展覧会や取扱作家情報などを発信しています。

美術館(展覧会)てくてく日記 第87回/「宮崎輝生展」京都清宗根付館

「京都清宗根付館・冬の一般公開 ~宮崎輝生展~」
会期:2011年2月1日(火)~2月28日(月)
会場:京都清宗根付館-webサイト

blog_110227_01.jpg

京都根付館の冬の一般公開に、斎藤美洲さんと伺いました。
今回の企画展示は、宮崎輝生さんの「芝山象嵌」の作品の数々。

●まず「芝山象嵌」のこと。
象嵌というのは、ベースになっている材の本体を彫り凹みを作って、別素材で形を作った部材を嵌めるという技法のことです。一般的な根付などでは、例えば動物の眼の部分などに、べっ甲を嵌めたりすることを「象嵌」と言います。
そういった技法の中で、貝や象牙、珊瑚、鼈甲などさまざまに用いて、装飾的に表現する技法を「芝山象嵌」というようです。漆を施した上に、様々な材を象嵌しながら、華やかな絵柄に仕上げてあるものが多いです。

芝山象嵌の「芝山」は、芝山専蔵さんという人が、祖だったためと知りました。
明治時代に輸出用工芸品として人気があり、芝山象嵌の職人が貿易港の横浜へ集まるようになったようで、
宮崎さんも、やはり横浜にお住まいの作家さんです。
大変技巧を尽くす仕事で、その技を継いでいく人が少ないのは残念なことです。

展示されていた作品は、小さな箱のようなタイプの「箱根付」が多くありました。(蓋になっている部分の内側に紐をかけ、箱底の穴から外に引っ張ります。そうすると、根付を使用している間、箱が開くことはありません。)
箱の表に華やかな装飾があり、蓋を開けると中にも、意匠があります。外と内で、デザインの遊びが凝らされています。漆の硯箱やお重箱などが、手の平サイズに小さくなったようで、美しく可愛らしく、眺めていて飽きることがありません。

●常設の展示の中で、今回ご一緒した美洲さんが、「これは素晴らしいから見ておくといい・・」と足を止めて、声をかけて下さったのは、駒田柳之作の十二単の女性ものの根付。館のスタッフの方に伺うと、早い時期に作られた作品ではないか?とのこと。
髪を灰色の墨で色をつけてあるだけの彩色が施されていない根付です。駒田さんの作品の多くは、華やかな彩色が施されたものもありますが、これはモノトーンの無彩色の仕上げでした。
アイスクリームがトロリと溶けたような、やわらかなフォルムの中に、顔や手、衣などの造作がすべて優しく納まっていて、つい掌の中で愛でたくなるような作品でした。本当に流れ溶けていくような、美しい曲線美。「根付の造形美」に満ちた作品でした。

この作品を今回、拝見することができて良かった!と思い、
最後にもう一度、眺めて目に焼き付けてから帰路につきました。

(スタッフ橋本)
  1. 2011/02/28(月) 00:26:10|
  2. 美術館・展覧会情報など