
ここ数年、本をじっくり読む時間がとれないでいる。
お世話になっている島泰三先生の本も、学生時代からずっと読みつづけてきた菊地秀行の新刊も、いろいろと気になる本も、見事に積んである。
そこへきて最近また読みたいのにまとめて読む時間がとれない本が出た。毒ヘビ全書である。
爬虫両棲類のなかでも、毒ヘビ、それからワニを多く取り扱う本は多くない。
専門的な図鑑などはその多くがペットとして日本に入ってきている写真をまとめたものが多く、
毒ヘビやワニはなかなかその流通の上にはのらないという理由で載っていない、もしくは載っていてもわずか、という状態である。
毒ヘビ、ワニが多く載っているのは子ども用の図鑑、さもなくば洋書ということになる。少なくとも今まではそういう状況だった。
(全くの余談であるが子どもの図鑑は全然侮れない。)
と、そこへきての毒ヘビ全書である。ボロボロにして読み資料にする用と、綺麗にとっておく用と、2冊買い必須であろう。
こんなに多くの毒ヘビが写真付きで日本語の解説で読める日がくるなんて思いもよらなかった。有難い。
僕はこの本の執筆者全員と顔見知り、もしくはお世話になっている方々で特にメインで執筆されている田原さんにおいては、
普段から綺麗な画像をオンライン上で公開していたので、こういう形で紙媒体として手元に置くことができたのは本当に嬉しい。
さらに余談であるが、田原さんの台湾のセンザンコウの画像は本当に美しく、その構図を元に絵を描いてTシャツにしたことがある。
さて、この本が出ると知ってから手元に届くまでの専らの興味は「ブッシュバイパーが何種掲載されるか」ということであった。
果たしてそれはまあまあ順当に3種であったが、それでも凄いことで綺麗な写真を解説付きで読めることは本当に有難いことだ。
ブッシュバイパーは今のところ15種、ないしは16種に分類されている。そのどれもが美しいことは言うまでもないが、
それぞれに特徴を持っている。トゲトゲのもの、硬そうなもの、角のあるもの、色彩も緑、黄、赤と様々でなんとも〈男の子ゴコロ〉をくすぐる種ばかりである。
そんなわけで今日もブッシュバイパーを作る。
今はヘアリーブッシュバイパーに着手している。この仲間の中では1番小型でそれでいて1番鱗がギザギザしている。
頭部が多くの人が思うようなヘビらしさがなく上下の厚みがしっかりしていて、さらに目も黒目がちなのでどこかキャラクタナイズされた印象を受ける。
これは私見だが、このような頭部に厚みがあるヘビは樹上棲のものが多いように思う。
そしてそういったことを想像しながら造形物の構図を決めていくことが楽しい。
どのような動きをするのか、どんな風な見せ方が良いのか、など。
前2作のブッシュバイパー根付もそういう想像からポーズを決めていった。
どちらも樹上棲なので地を這うような構図は避けた。身を寄せている枝も造形に盛り込もうかとも思ったのだけれども
それはやめておいた。これらのヘビ単体で立体活動を想像させるようなデザインにしたかったからである。
そのために2作目のホーンドブッシュバイパーでは獲物を狙うようなポーズと枝を登っていくようなポーズ、2通りのイメージで置けるようなデザインにした。
さらに根付として紐を通した際には紐を枝に見立てて絡まって止まっているように見せられるようにしてみた。
なかなか余計なことかもしれないが、僕はこういうことが楽しくて生き物を作っているし、
それを根付のデザインにも持ち込もうとしている。
気づく人がいてもいなくてもあまり気にしない。
自分自身が面白いと思ってやっていることで、それこそが生き物を作る上で最大の醍醐味であると僕は信じている。
そういうわけでブッシュバイパーをひと通り作り終えたら今度は地上棲の毒ヘビも作りたい。
構図はいくつか決まっている。
いつになるのかはわからない。
ヘビばかり作っているわけにもいかないので。
そして今日現在は怪獣に追われていたりするので。

毒ヘビ全書
田原 義太慶 編著
グラフィック社
webページ
http://www.graphicsha.co.jp/detail.html?p=40293
守亜「トゲブッシュバイパー」

守亜「ツノブッシュバイパー」

守亜「ツノブッシュバイパー」(彩色バージョン違い)
「根津の根付屋」
守亜 作品ページは、こちら!
- 2020/03/30(月) 09:11:40|
- 守亜(群馬)
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