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根津の根付屋 & Gallery 花影抄 blog

東京・根津にある主に現代根付、立体作品をご紹介しています、Gallery花影抄のblogです。
展覧会や取扱作家情報などを発信しています。

作家便り「2018年8月/齋藤美洲(埼玉)」

老根付師の徒然草  長月 (九月の勿怪展にちなんで)

酷暑  40℃を超えるとの報を聞くにつけ驚きよりも「今日もまたか」の
感の強い今夏も、暦は立秋を過ぎた。耳を傾けると一匹のコオロギの声に
季節は移ろうものと安堵。ただ、秋の気配はなし。乞うご自愛。

 アクシデント。   熊谷で41.1℃と聞いた日の昼下り、何故かフラリと感じ
室温を見ると33℃。わが仕事場はプレハブ故にこうなるのかと思い過ごしたが、
35℃の気温でも30℃にしかならない。エアコンを最低にセットして変わらず。
「壊れたか!」と気付きギョッ!!とする。

盆休暇が近い今、頼んでもいつ工事が来るか?今夏は開店休業かと思われた。
一週間頑張って仕事をしていた時、外気温より室温が下がっているのは故障では
なく整備不良なのかと一縷の望みを得る。梅雨明けに洗浄スプレーをしたが、
気休めであったらしい。フィルターの奥の冷却板をよく見て驚いた。

長年の材料の微粒と煙草のヤニで固まり、室内空気が排気されていない。
スプレー缶三本とブラシを用いて洗浄。やっと排気される様に回復。
セッティング温度まで下がる。ただ、8/9の台風の日故、猛暑で試していないため
只今酷暑待ち。リューター等使用する根付師諸氏には、エアコン整備は念入りに。

一頭でも十二支
花影抄 勿怪の幸い展に出品すべく主題を考えていた。
九尾の狐も物の怪なら、根付らしく多少のユーモアの主題としてこれを選んだ。

浮世絵に一頭で十二支全てを入れ込んだ図がある。子の頭から描き始め
たのであろうと推測する。順に、丑の角、寅の斑、卯の耳、辰の腹と火炎、
巳の尾先の顔、午のたてがみ、申の手、酉のトサカ、戌の足、ときて最後に
亥の特徴はと考えた故か、逆立つ毛並みときた。寅の斑と逆立つ毛並みを
同時に表現するのは困難と思われ(原画でも明確な面白さは出ていない)
私流にデザインを変えた。

bushu_blog1808.jpg

bushu_blog1808(2).jpg

巳の胴体部分を、子の尾にし、顔を亥にした。これで根付的ユーモラスになった。
四足で地面に立っていた原画に対して、擬人化して立図にすれば、テーマは
同じでも私のオリジナルとしてよいと思うし、古今の根付の内でも唯一と云えるだろう。

オリジナリティ あえて作品の説明をくどく前述したのは、作家は自然や他作品に
インプレッション(感動を持って心に刻まれるもの)を受け、表現しようとする。
その時、アイディアを得たものに近づける様なデッサンをするのは作意がないと云える。
インプレッションを受けたことに対して、何故にと、あらゆる角度から分析した後に
表現できたものが、オリジナリティと云ってよいものと考える。
  1. 2018/08/16(木) 20:10:50|
  2. 齋藤美洲(埼玉)