根津の根付屋 & Gallery 花影抄 blog

東京・根津にある主に現代根付、立体作品をご紹介しています、Gallery花影抄のblogです。展覧会や取扱作家情報などを発信しています。

作家便り 「2017年3月/かわさきみなみ(千葉)」

こんにちは。かわさきみなみです。

先日渋谷の映画館にユーリー・ノルシュテイン監督特集上映
「アニメーションの神様、その美しき世界」を見に行きました。
ノルシュテイン監督の代表的な監督作6作品をデジタルリマスター版で上映ということで
楽しみにしていたのですがなかなか行けず、やっと見に行きました。まだやってくれていてよかった…

ノルシュテイン作品を初めて見たのは大学生の頃で、
かわいい動物のキャラクターと独特の暗い世界観に心を奪われて
作品集のDVDを一時期何度も見ていました。

私が好きな作品は「霧の中のハリネズミ」と「話の話」です。
「霧の中のハリネズミ」の映像は本当にきれいです。どの場面の風景も全部美しい。
そして動物たちがかわいい。だけどちょっと怖い雰囲気があってそこが癖になります。
(そういえばこのお話の中で一瞬だけ犬が出てくるのですが動きといい音といい、
犬らしさがすごい出ていて最高です。一瞬だけど重要なシーン。いつも楽しみにする場面です。)

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(写真は特集上映に合わせて作られたポストカード型のパンフレット。かわいい。)

でも映画館で上映を見て、やっぱり一番好きだなと思ったのは「話の話」でした。
「話の話」は、まとまったひとつの物語ではなく記憶や想像の断片が集まったようなつくりで
内容はわかりにくい作品ではありますが、作品の中の空気感を味わいたくて何度も見てしまう作品です。
1941年生まれのノルシュテイン監督の子供の頃の記憶、戦争の記憶が反映されている作品なのだそうで、
全体的に暗く重い、哀しげな空気に包まれていますが、ただつらく哀しいだけではない、強い「何か」が感じられる
不思議な作品です。その「何か」は何なのか、わからないけれどなんだかとても大事なもののように思えるのです。
その「何か」が気になって、何度も見てしまうのかもしれません。

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(「話の話」の色々な場面。主人公(?)はロシアの子守唄に出てくる狼の子どもです。)

ノルシュテイン作品は映画館の上映で久しぶりに見たのですが、
「話の話」を見ながらここ数年気に入って読んでいる山下澄人さんの小説も
この作品のつくりと似た形をしていると思いました。
どちらの作品も、色々な場面がとぎれとぎれに並んで流れていって
どこへ向かっているのかわからない、わからないまま散らばっていってしまうような
印象を受けます。私はどうもそういうとらえどころのない作品に惹かれるところがあるようです。

5月の個展は、そんなとぎれとぎれの場面が重なったようなイメージの
展示にできたらと思っています。
色々な瞬間のドローイングを描いてみたりしながら、制作を進めています。

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  1. 2017/03/15(水) 20:10:34|
  2. かわさきみなみ(千葉)