根津の根付屋 & Gallery 花影抄 blog

東京・根津にある主に現代根付、立体作品をご紹介しています、Gallery花影抄のblogです。展覧会や取扱作家情報などを発信しています。

作家便り 「2015年10月/金井麻央(千葉)」 … 箆(へら)づくり

今月、三人展に参加して頂いた漆芸家の金井麻央さん。今月より作家便りを頂くことになりした。
当ギャラリーでは初めての漆芸の作家さんですので、まずは漆芸のことを中心にお便りくださることになりました。

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はじめまして。漆芸をしております、金井麻央と申します。
10月の三人展にお越し頂いた皆様ありがとうございました。たくさんの方に見て頂き、感謝しております。

展示が終わり、数日は気持ちを新たにと、道具の手入れなどをしていました。

初ブログ投稿の今回は、漆芸には欠かせない道具の一つである箆(ヘラ)の作り方をご紹介させて頂きます。

漆の一滴は血の一滴、酒の一滴も血の一滴
…というわけで、漆を扱う際、一滴たりとも無駄にしないためには常に先がシャキッ!ピタッ!とした箆が必要になります。

箆にも様々あり、パレットナイフの役目のように、漆塗りの前段階として"下地"を混ぜ合わせる合わせ箆、
下地をつけるつけ箆、練り合わせに用いる練箆、などがあります。
つけ箆は器物の形状に合わせ箆先を加工したりします。用途に応じて作ります。
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用途によってはプラスチック箆なども加工して使ったり、鯨の髭で作ったり、竹などでも作ったりしますが、
今回はヒノキのつけ箆の作り方をご紹介します。

まず、箆木を用意します。箆木とはヒノキを薄く割ったままの板のことをいいます。
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これは学生の時に丸太から切り出したものです。樹齢約300年!!薪割りからスタートしました。
体力がいりますね…

まずはじめに一枚の箆木を木目に対して斜めにカットします。小刀で表と裏に切り込みを入れます。
それを何度か繰り返します。
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すると綺麗にぱかっと割れ、一枚の箆木からふたつの箆が作れます♪
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続いて、ふたつのうちの一枚を裏から釘を打ち付けた板に打ち付けます。
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鉋で平らな面を作ります。こちらが箆の裏面になります。
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裏を平らにしたら次は表をあてます。表は前の方が薄くなるように鉋で削ります。
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側面もあてます。手で持つ部分は角を落とします。
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続いて塗師刀で角度を決めて先を切ります。
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塗師刀とは漆工に使用する道具のひとつで、箆を削るときや刷毛を切り出すときにも使います。
普通の小刀より刃渡りが長いです。
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刀の裏をしっかり当てて、削ります。これはつけ箆にしますので、先の方はあまり薄くせず、
少し手前を削るようにします。
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するとこの様に"しなり"ます。
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下地を薄く、均一につけるにはこのしなりが重要です。

最後に箆先を砥石等で整えて仕上げます。こうして箆が一つ出来上がりました。
このままだと漆を吸い込んでしまうので、一度摺り漆をして漆の吸い込みを止めてから使います。
(私はせっかちなので省いてしまうことも…反省。)
300年余生きた木を削って作る道具。手入れをしながら大切に使わなければと、身が引き締まります。

一回目にして、箆の紹介だけで大変長文になってしまいました。
最後まで読んで下さった方、ありがとうございました。

今後ともよろしくお願いいたします。


※そんな金井麻央さんの作品はこちらでご覧頂けます!
  1. 2015/10/30(金) 17:00:16|
  2. 金井麻央(千葉)