根津の根付屋 & Gallery 花影抄 blog

東京・根津にある主に現代根付、立体作品をご紹介しています、Gallery花影抄のblogです。展覧会や取扱作家情報などを発信しています。

作家便り「13年9月/齋藤美洲(埼玉) 」

処暑を過ぎたとはいえ、残暑未だなお酷。百日紅(さるすべり)の花の色あせて
彼岸花の深紅に、目を奪われる時を心待。

前回記述した、塚本博先生と、花影抄にて橋本氏、スタッフで8月6日に歓談する
機会を得ました。先生の造詣は、絵画は勿論、彫刻、美術史、全てに深く、その興味
は日本の根付にも及びます。先生との出会いは今年の私の個展の折、私の根付説明が
西洋近代彫刻論を基にしているのを聞いて、同意と声を掛けてくれてよりの事でした。

以下、メモをとらずの覚え書き…

良い彫刻とは、ミケランジェロが云う様に、坂に転がしても壊れないと思わせる
塊として安定感の有るものだと、良い根付はそれに通じるものが有る、との先生の言葉から始まった。

私の持論の、根付はキュビズム論的に考えると、より理解は深まる。
しかし一般の方にはなかなか解ってもらえない。例えば、外国人なら解るだろうと
話た所、根付は丸い形で、立方体(キューブ)ではないとの答え。

キュビズムを知らない人には話にならない、等々の私の話に、先生は西洋近代彫刻は、
キュビズムの様々な抽象的絵画が行き詰まり、実際に彫刻(造形)にてその抽象を実証
されるべく移行してきたと云う。私はその彫刻家の一人として、尊敬するブランクーシを
上げ、互いに作例を上げながら語り合った。

話は抽象と根付に移り、先生は抽象と具象が魔術的に混在しているのが根付であり、
マッス(大きな固まり)として考えると云う。つまり、根付は本来、帯に通して使われる
もので有るが故に、使用可能な美しい抽象形を初めに意識し、その中に具象表現をすると
云う事だろう。

先生は自らのコレクション根付(玉鼠)を持参し、御自身の根付に対する考え方
の例として説明され、聞く私達にも話が具現化されて、大きな参考になった。

心に残った、先生の言葉は、西洋美術論的に根付を学べば、この根付は良いと
感じた時、何故?その造形が良いのかを考え、それを理解し、理論付けられると云う。
人が自分を語るに、どの位、自分を理解しているのか?に似ている。

前回、不思議に思う事、二つを書いたが、根付界に不足しているのはこの事かと
思われる。

これよりは、私も、この論点から作品例を上げて、自分の思を文章化していきたいと
思う。五十年も前の美術手帖で近代絵画のモンドリアンを読む。ブランクーシ同様
物事を突き詰めた作家だ、と彼は言う。

事物の表面は喜びを与える。
事物の内面は生命を与える。

これからの私の座右に置くべき言だ。


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塚本先生の著書「すぐわかる 作家別 ルネサンスの美術」

  1. 2013/09/06(金) 14:13:41|
  2. 齋藤美洲(埼玉)