根津の根付屋 & Gallery 花影抄 blog

東京・根津にある主に現代根付、立体作品をご紹介しています、Gallery花影抄のblogです。展覧会や取扱作家情報などを発信しています。

作家便り「13年3月/森栄二(葉山)」


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ある言葉を記します

 「結局のところ人間と人間の関係には我々が一般的にそう思っているよりずっと多くの謎がひそんでいるのではないだろうか?誰か他人のことをきちんとわかっているなどと本気で言える人間はどこにもいない。それがたとえ何年も起居をともににしている相手であったとしてもである。
 我々の内なる人生を構成するものについては、われわれは最も親しい相手にさえその断片しか伝えることができないのである。その全体像は伝えることはできないし、相手も理解することはできないだろう。
 我々は隣人の姿さえはっきりとはみきわめることのできないこのような薄暗がりのごとき人生をともに手さぐりでふらふらと進んでいる。ただときおり、我々がその道づれとともにした何かの経験とか、相手が口にしたふとした発言とかによって、まるでパッと閃光に照らしだされた如く、その相手と我々がぴったりとくっつくようにして立っていることを一瞬知ることがある。そのようなときに、我々は相手のあるがままの姿を見るのだ。
 そのあと、我々は再び共に暗闇の中を歩いていく。おそらく長い時間。そしてその仲間の旅人の姿を見きわめようと努めるのだが、その思いが果たされることはない。」


 とても美しくしかも鋭利なこの言葉は、アルベルト・シュヴァイツァーによるもので、スコット・フィッツジェラルド作『グレート・ギャッツビー』(村上春樹訳)の前書きに載せられていたものです。3、4年前、妻が見つけてきて僕に教えてくれたのです。彼女は子供のために作った小さなアルバム(子供がお腹にできてから生まれて1年くらいまでのことを記録してある)にこの文のコピーを張り付けています。アルベルト・シュバイツァーとは誰なのか?僕はこの文を読むまでまったくその存在を知りませんでした。(実は今でもほぼ知らないままですが・・・) 

 宇宙の事をよく考えます。色々と。

 晴れた日に夜空を見上げると無数の美しい星はいつもそこにありますが、その全てはあまりにも遠く、我々にとってはただただみつめるだけの存在です。惑星を除けば、最も近くの星でも光の速度で4.3年、人間が観測した無数の銀河の中で最も遠くのものは130億年もの遥か彼方です。しかも見えているその光は130億年も昔のもの!!宇宙の年齢は137億年だそうですから、かなり若いでき立ての宇宙の姿が見えているのですね。その若い銀河は、夜空のほとんど星が見えない一角に焦点を絞って思いっきり拡大してみた時、色々の形をした小さな銀河がびっしりと見えるなかから発見されたのです。想像もできないほどの無数の銀河が、想像もつかないほど遠くの宇宙に存在している。しかも時間すら限りなく隔絶しているのです。
 
 人と人の心のありようも、実はこのようなものなのかもしれない。

2013年3月  森栄二
                                                   
  1. 2013/03/12(火) 21:28:18|
  2. 森栄二(葉山)