根津の根付屋 & Gallery 花影抄 blog

東京・根津にある主に現代根付、立体作品をご紹介しています、Gallery花影抄のblogです。展覧会や取扱作家情報などを発信しています。

作家便り 「13年1月/かぶ (東京) 」

「郷コレクション」を見て。

あけましておめでとうございます。
本年もよろしくお願い申し上げます。

昨年末、東京国立博物館で「郷コレクション」の展示を見てきました。
この展示は古根付に興味のある身にとって、とても勉強になりました。
饅頭や形彫り、柳左、面などタイプの違う根付がすべてあり、
また人や動物など偏らない題材が目を引きます。

特に目を引いた根付がこれ!
  
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蘭亭の「狐忠信牙彫根付」です。
蘭亭は安政年間、江戸の終わりから明治に移り変わる時代に
京都で活躍した根付師です。
郷コレクションのキャプションに「法橋」を叙せられたと書いてありますが
法橋とは本来は僧の位で、戦国時代が終わる頃からは仏師や絵師などにも与えられた称号だそうです。
ちなみに、同時代では「五百羅漢図」の絵師、狩野一信が法橋を叙せられています。

「狐忠信」は義経千本桜に出てきますが、
この「狐忠信牙彫根付」の様子は、最後に鼓を抱いて宙にひらっと飛んでいくところでしょうか。
あばらが浮いて痛々しくも見えますが、妖狐らしい身軽さと俊敏さが感じられ、
近くで見ると、笑っているような、或いは口を開け陶酔しているような表情です。
初音の鼓が戻り、人と同じように喜びまたほっとした様でしょう。

目は象嵌ではなく、彫りこんで着色されているだけのように見え、
この小さな目で感情までが表現されているようで、驚かされます。

別冊太陽に載っている蘭亭の「蛸と猿」。
あれも、猿の噛り付く顔に対比した蛸の表情に驚きと度惑い、恐れが見えますし、
猿が蛸を掴むむにっとした感触が感じられます。
蘭亭の魅力は、とくに顔や質感の表わし方にあるように思います。
  
古根付は多くの年月を経た物が醸し出す雰囲気もあるでしょうが、
細部の作りこみや小さながらの表現の豊かさが目を引き、
手に取りたいと思わせるような気がします。


※webサイト「根津の根付屋/かぶ」のページは、こちら!

  1. 2013/01/08(火) 18:46:45|
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