先月のブログは4月半ばに書き終えて、現在、5月も20日過ぎ。その間、我がボロ仕事場回りには、皐月、モッコウバラ、ブルーベリー、紫蘭、菖蒲、と順に咲き、生命の息吹を楽しませてくれ、アッという間の初夏の移ろいであった。




願わくば 桜の下にて 春死なん
その如月の 望月の頃
と、西行法師は歌ったが、最期の時がいつ訪れようとも、いずれかの花が送ってくれるとの感慨に、安堵の心。
還暦
この季節は、4月が私の誕生月故に、近年メランコリックな気分になるのは、歳のせいで致し方ないか。まして、来年前述の花を愛でることが出来れば、傘寿ということになると、下りの旅の行先を考える。
創作意欲、気力、体力の低下から、彫刻刀を置いてからの生活、そしてボケ等々、余計な事に気を取られていた時、気がついた。本年でプロになって60年。還暦じゃないかと。我が仕事のカレンダーは取り替えられ、本日はキャリア1年にも満たぬ新人の若造の気分。あの日のたぎる心を思い返し、学徒の如く、生きることに向き合おうと、陽気に青春。
昨日、ボーリング11ゲームをこなし、
本日、天気晴朗ならずとも筋肉痛無し。
私のデッサン考 Ⅱ
前回長々と、根付デッサンはあくまでも立体彫刻の為のものであると強調した。
次に、脳内にデッサンより得た立体を確認して造形作業に入った時、デッサン帳から離れることを奨める。
何故ならば、平面から立体にする時、デッサンを設計図にすると無理が生じることが多い。それは立体の把握不足もあるし、素材の形がデッサン通りのものでない場合等々あるからだ。
作品にする素材を彫る前に粘土で立体を確認する方法があるが、私の考えでは彫塑と彫刻は別のもので、足して作るのと引いて(彫って)作るのでは立体感が違うものになる。粘土の場合、それ自体が完成品的錯覚に陥りやすく、作品はそのコピーになり、精彩を欠きやすい。
私の場合は、割れが入るなどして完成品としては使えない素材で、デッサンから立体への確認をする。この方法だと、デッサンの間違い等分かるし、こうすればもっと良くなるといった試行錯誤も出来る。デッサンから作品に移行する間の回り道が、作品をより良くするものと考える。



彫刻、画家両先生の会話
私がまだ仕事を始めたばかりの頃、太平洋美術学校の彫塑教室で作業中の話。教室に画家の老先生が来て、長い間興味深げに観た後、彫刻の先生に質問した。「彫塑は楽しげで面白い。制作は、まずモデルのアウトラインを観て作り、モデルを少し回転させて又アウトラインを作り、順次繰り返して360度回転させると完成するものですか?」
彫刻の先生は「いえ、それでは出来ません。」と先輩に対して静かに答えたが、ムッとした雰囲気が教室に満ちた。
老画家が出ていった後、「解っちゃいねェ」とベランメエ調で云い、「お前はどう思う?」と私に問いかけてきた。「画の先生の説だと、片眼でも出来る。両眼でマッス(=固まり)を理解して作るものと考えます。」と答えると彫刻の先生が頷いたので、ホッとした事を思い出す。
今思えば、彫刻のアウトラインとは、立体が存在して見えるもので、制作者は立体造形に重点を置くべしとのことであろう。立体が良ければ自ずとアウトラインも美しく、存在感を持つ。
現在にも通ずる、彫刻とはの話だが、あれから60年を経て考える。
もし、画家の先生が今日まで存命で、今もなお持論に固執しているならば、3Dプリンターを駆使して立体作品を作れたかもしれない。コンピューターはあったが、一般人にとってはSF小説的時代のお話でした。
- 2022/05/31(火) 09:00:00|
- 齋藤美洲(埼玉)
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6月のギャラリー営業日のご案内です。
永島信也さんの個展が11日よりあります。
人数制限をしながらの営業予定ですが、ご予約なしでお越しいただけます。
その他の日も同じく人数制限をしながらオープン予定です。
引き続き、ご来店の際のマスク着用手指消毒のご協力を賜りますがよろしくお願いいたします。


永島信也 根付彫刻展「掌上の偶像」
2022年6月11日[土]〜19日[日]
以下引き続きとなりますが、店舗での感染症対策のお願いとお知らせとなります。
▼ギャラリーへの最大収容人数を3名程としております。
・3名より増えてしまった場合は、お待ちいただく場合がございます。
▼店内は窓を開けたり、サーキュレーターを使い換気を気を付けております。
入店時の手指の消毒、マスクの着用はこれまで通り、ご協力をお願いいたします。
▼少しでも体調に不安のある方は、ご来店をご遠慮くださいませ。
(小さなものであっても咳の症状がある、微熱がある、頭痛がある等、普段と体調の差異を感じられる場合)
お越しの際には皆さまのご協力を重ねてお願いいたします。
スタッフも体調管理、マスク、手指の消毒を徹底してお待ちしております。
根津の店舗の場所は
こちらからご確認ください。
- 2022/05/29(日) 19:00:00|
- 店舗営業のお知らせ
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※ご購入の抽選お申込みについてはこちらのまとめ編をご覧ください。【出品作品ご紹介】▼作品番号18 Image Combing-adrift-52.0×37.0×21.3cm
※要問合せ。本作品は、抽選ではございません。
作品のサイズや重量を会場で実際に確認いただいてお問合せをいただきたく存じます。
▼作品番号19 FRAGMENTUM "Image Combing"大理石、銀
※本作品はエディション30の限定制作で、
受注販売となります。詳細は以下のページからご覧いただき、ご注文下さい。
Gallery花影抄/佐野藍作品紹介ページ
▼作品番号20 個展限定受注Tシャツ※個展限定の
受注販売となります。詳細は以下のQRコードからご覧いただき、ご注文ください。(作家個人アカウントでの受注となります。)


- 2022/05/24(火) 19:15:00|
- 佐野 藍(東京)
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現在開催中の佐野藍個展「Image Combing」の出品作品を全4回に分けて本blogでご紹介いたします。今回の個展では、
出品作品は基本的に全て抽選での販売となります。以下抽選販売の概要となりますので、抽選販売へエントリーをご希望の方は必ずご一読いただきましてから、お申し込みくださいますようお願い申し上げます。
(その他、受注販売の作品やグッズにつきましても、それぞれ個別にご案内をしておりますので、ご確認ください。)
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抽選販売のエントリー受付期間は、2022年5月21日(土)~5月29日(日)18:00までとなります。・エントリー作品数の制限はございません。ご希望の方は複数の作品へエントリーいただけます。
・エントリー方法は、会場でのお申込みと、メールでのお申込みの2通りになります。
【メールでのお申し込み方法】
mail@hanakagesho.com宛てに、エントリーをご希望の作品番号と作品名を明記の上、合わせて以下5点の項目をお知らせください。
お名前
電話番号
郵便番号
ご住所
当選になった場合の作品受け取り方法(ご配送orご来店)
※ご配送の際には、送料を一部ご負担いただきます。
メールの件名は「佐野藍個展 抽選販売申し込み」としてくださるとスムーズです。・エントリー受付期間終了後に抽選を行い、当選の方には6月の第1週目にかけてご連絡をすすめてまいります。
なお恐れ入りますが、当選の発表は当選の方へのご連絡を持ってかえさせていただきますので、ご了承ください。
・当選後のお支払については、ご配送の場合はお振込み、ご来店の場合は現金またはカード(1回払のみ)で承ります。
以上長いご説明となりましたが、ご一読いただきまして大変ありがとうございました。
時節柄ギャラリーへ直接お越しになれないお客様もいらっしゃると思います、どうぞお楽しみいただけましたら幸いです。
▼佐野藍個展「Image Combing」出品作品ご紹介カテゴリーごとにページが分かれていますのでそれぞれクリックしてご覧ください。
▶石彫(1/2)▶石彫(2/2)▶ドローイング▶
その他(DM作品、受注販売リング、グッズ等)
- 2022/05/23(月) 19:16:44|
- 佐野 藍(東京)
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今週末の21日(土)から開催されます、佐野藍個展の作品販売方法についてのご案内です。今回の展覧会は大小の石彫作品、ドローイングを含む約20点ほどの作品で構成されます。
出品作品は、基本的に全て抽選販売となります。(新作のリングは受注販売を予定しております。)
以下抽選販売の概要となりますので、ご一読いただけましたら幸いです。
・抽選販売のエントリー受付期間は、2022年5月21日(土)~5月29日(日)18:00までとなります。
・エントリー作品数の制限はございません。ご希望の方は複数の作品へエントリーいただけます。
・エントリー方法は、会場でのお申込みと、メールでのお申込みの2通りになります。
※DM作品(以下の画像)へのエントリーは、会場のみでの受付となります。
恐れ入りますがメールでのエントリーはお受けできませんので、予めご了承ください。
※作品は、5月25日(水)中にインターネット上でご覧いただけるように準備を進めております。
会場へ直接お越しいただけない遠方の方々は、是非オンラインにて作品をお楽しみいただけましたら幸いです。
・エントリー受付期間終了後に抽選を行い、当選の方には6月の1週目にかけてご連絡をすすめてまいります。
なお恐れ入りますが、当選の発表は当選の方へのご連絡を持ってかえさせていただきますので、ご了承ください。
・また上記以外のTシャツなどのグッズは、ギャラリーではなく作家個人アカウントでの受注となります。
何卒宜しくお願い申し上げます。
- 2022/05/19(木) 19:58:44|
- 佐野 藍(東京)
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月刊美術5月号(No.560)にて掲載のアートフェア東京2022の振り返り記事にて、
かわさきみなみの個展に触れ、展示風景を掲載していただきました。
全体を見ての注目されたブースなどについても、色々と編集部の方たちの会話が繰り広げられる記事でした。
会場は小さいスペースではありましたが、かわさきさんの世界観を表現できたブースとなったと思います。
まだ2か月ほどしか経っていないのですが、もうだいぶ前のことに思ったりもします。
展示中には追加のご注文もいただいたり、展示後もご注文制作に忙しいかわさきさんです。
また今回展示後、売上より一部ウクライナでの犬の保護活動をされている団体へ寄付をいたしました。
戦火の中、大変な思いをしているペットと飼い主の方へ少しでも助力となればと思っています。

- 2022/05/18(水) 21:59:49|
- かわさきみなみ(千葉)
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■Gallery花影抄として大事な御報告があります■□私たちは、アートギャラリーとしての規模を縮小し、本来得意としていた特化したジャンルに活動を再び凝縮していくことを決めました。
今後、現代根付を主とした一部工芸ジャンルの作家・作品に範囲を集約し活動していく計画です。
具体的には、2023年以降、彫刻・立体・平面など美術全般を視野にいれたアートギャラリーとしての「Gallery花影抄」の活動を小さくしていき、運営している「根津の根付屋」と「和こもの花影抄」の展開にあらためて注力してまいります。
現在、すでに決定している展覧会の予定、プロジェクトについては終了まで続けてまいります。
作家の方々、御客様方、お取引先の皆様におかれましては、ご迷惑やご心配をおかけいたしますこと恐縮いたします。
一部取り扱いの枠から外れてしまう作家の皆様へ申し訳ありません。
お詫びを申し上げると共に先々の活動について微力ながらサポートもしてまいりたいと存じます。
ご不明のこと、ご質問やご確認などございましたら、お声かけくださいませ。
何卒宜しくお願い申し上げます。■以下、弊ギャラリーの変遷を振り返りながら、ご説明も同時にさせていただきたいと存じます。
□Gallery花影抄は、2000年にカフェを併設した貸ギャラリーとしてオープンしました。
現代表の橋本は、美術大学で版画を学んで卒業して数年が過ぎたところで、いったん離れようとしていた美術の世界に再び戻って仕事をすることになりました。
オープン当時は、貸画廊がたくさんあり、カフェギャラリーのオープンも目立っていました。
カフェの仕事も、貸画廊の仕事も、お客様との心温まるコミュニケーションがあり充実した気持ちも持っていましたが、経営的には長い冬の期間でした。(その頃いっしょに並走していた仲間はいつの間にかほとんど閉店して、今は居なくなってしまいました。)美術作品を販売することで経営を押し上げていきたいと考えるようになり、貸画廊から企画画廊に移行していきたいと模索が続きました。
貸画廊から企画画廊へ変わるということ、ギャラリーを美術工芸品の販売によって経営維持していくためにどうすれば良いか?
当初考えを詰めていった答えは、自分のギャラリーのサポートによって「取り扱い作家の過半数がそのことによって暮らしている状態を作りだす」というものでした。扱う作家がそのことでご飯を食べているとすれば、おのずと自分もご飯を食べられる!というシンプルな考え方でした。(以後、今に至るまで自身の美術商としての根底にあり、ほぼその一点に注力してきたと言えます。)
企画画廊への移行を模索する中で「現代根付」という特殊なジャンルの美術工芸と出会い、特化したジャンルを扱う企画画廊へと変化していくことができました。この時に出会い導いてくださった現代根付作家のみなさんと根付収集家の方々には、本当に感謝をしています。現代根付のギャラリーに集約していく中では、それまで取り扱っていた様々なジャンルの作家のみなさんの取り扱いを止めていく段階がありました。そこには心苦しさもありました。本当に大きな舵取りとなりました。(2022年現在、再び同様の岐路に立っている状態です。)
現代根付の取り扱いを広げていく過程で、「現代根付界」と「美術界」の間の接点に興味と可能性を見出していくことになりました。デビューした若手の現代根付作家の活動領域の広がりと共にギャラリーの活動も広がっていきました。
ある程度広がり安定してきたところで、さらなる展開を考えた時、根付と類似点がある他ジャンルの美術作家(作品)も取り扱い、領域を相互に行き来することでさらに活動領域を大きく拡げていこうという考えに至りました。
ここで、立体造形・彫刻を主とする作家を取り扱いに加えチカラを合わせ、アートギャラリーの活動も本格的な再起動をしていくことになりました。
異なるジャンルの間の相互交流は、刺激もあり相乗効果もありました。ジャンルを超えて交流してくださった作家の方々、またコレクターの皆様には感謝を申し上げます。
いわゆる「現代根付業界」から「アート業界」に橋をかける時には、雑誌メディアの方々にも大変お世話になりました。それぞれの編集部のみなさまには、いろいろ教えていただき活動のための情報も多くいただいてきました。
スパイラルで開催されていた「THE ART FAIR PLUS ULTRA」へは、編集の方を通じて参加させていただくことになりました。数年の間、このフェアに連続して出展するのですが、ここで学んだことも大きかったと思い返しています。下町のギャラリーとして小さな世間で活動していたところから、はじめて大きな美術業界の広がりを感じました。
その後、短期間に取り扱いのアーティストの成長と共に、クラスの上のアートフェア東京にも参加していけるようになり、さらなる大きな世界に繋がるアートマーケットの一端に触れることになりました。カフェ・ギャラリーを運営していた頃にはお客として通っていたアートフェアに出展することは自分の中では本当に大きなことでした。いくつかのアートフェアに参加する中で、いろいろなスタイルの同業の方々にお話しをお聞きする機会をいただきました。そのような御縁から海外のアートフェアへの参加も誘ってさせていただいたことも貴重な経験となりました。活動の規模や範囲など様々なことを考えるきっかけとなりました。
この頃、主に初期からお世話をしている作家の作品と二次市場との接点が生まれつつありました。
根付の市場はアンティーク根付と現代根付と比較的はっきりと分かれており、現代根付の二次市場というのは長くあまり活発な状況ではありませんでした。そのようなことから、現代根付の新作を扱う私たちは二次市場への積極的な姿勢が低かったと言えます。
しかし、販売してきた作品たちはどのような状況であれ、時間軸の中ではいずれは次の持ち主に引き継がれていくわけです。
その流れに自分たちが関わり、取り扱い作家の価値に対して責任を持ち続けたいと思っていましたが、実際には実行するための具体的な計画や行動がなく曖昧なまま進んできてしまいました。
今日を生きている作家との接点、向き合っているお客様との間での努力は日々続いていましたが、その先にある美術市場との関わりについては、考えや態度を詰めきれていなかった、至らなかったということは否めない事実であり、今、深い反省があります。
この状況の中で、作家と自分たちの間で重要な作品が二次市場で知らない間に望まない形で販売されてしまうケースが起きてきました。
厳しい現実と直面し、どこまでが自分の責任であるのか?親しくさせていただいている同業者の方々を順番にお訪ねしお話しを聞き、自問自答も繰り返す中で、「やりたいこと」と「やれること」の距離感が明確になっていきました。作品販売、その未来について考えていくと、売った後も責任をもっていきたいという気持ちがあるのですが、現実的なギャラリーとしての活動規模との間ではギャップが大きく生じている現状は良く理解できました。
プライマリーギャラリーとしての活動とセカンダリーマーケットの間で、今現在はどのように活動軸を定めるのか答えはでていません。大きな美術市場の中で、私たちのような小さな規模のギャラリー(美術商)の責任について、どうあるべきか、どのように必要とされているか、できることはなにか、今一度立ち止まって考えたいという気持ちでおります。
□活動規模の縮小・集約については、作家とギャラリーとの関係性・活動密度の問題、自身の身心のエネルギー量や体調の問題、ギャラリースタッフの状況なども関係しています。多くの事々と向き合えば、薄まっていくこと、こぼれ落ちていってしまう残念なことが増えていきます。それは良いことではありません。自身の器と活動の質と量の問題をあらためて考え直すべき時期が来たということだと思います。
今、美術工芸作品を扱うということは、人間の心身((精神や思考・作品を作る人の心技体)と数字(価値の問題、資本主義経済の仕組み、そしてすべてに関わる時間)の間のバランスに向き合うことだという考えに至りました。それらと向き合うために自分たちには更なる学びが必要だと自省して、必要な物事・可能な物事を再検討する時間を持ちたいのです。一度、少し離れて俯瞰してみることも必要だと判断しました。
□あらためて、今まで取り扱ってまいりました作家の方々、私どもから作品をお買い上げくださったお客様方には、ご迷惑やご心配をおかけすることにもなり恐縮もいたします。
御理解をいただければ幸いに存じます。何卒宜しくお願い申し上げます。
2022年5月 Gallery花影抄 橋本達士
- 2022/05/09(月) 19:28:34|
- Gallery花影抄の活動についての御報告
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