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根津の根付屋 & Gallery 花影抄 blog

東京・根津にある主に現代根付、立体作品をご紹介しています、Gallery花影抄のblogです。
展覧会や取扱作家情報などを発信しています。

作家便り「19年7月 /カタクラ ケンタ(埼玉)」

皆さまお世話になっております。作家のカタクラです。
梅雨も明けていよいよ夏本番、いかがお過ごしでしょうか?

僕はというと制作の傍ら、夏休みを満喫している甥(小6)からの
遊んでよコールにどう対応したものかと悩んでいます。
夏の小学生男子の体力を甘く見てはこちらの身が持ちません。
はて、どうしたものか、、、

さて、今月のブログのお品書きは
・ご注文品のお話し
・ワンダーフェスティバル
・今見たい展示
の3本です。


・ご注文品のお話し
先月のブログにも少し書いたのですが、もうだいぶ前に知り合った親しい方から
僕が根付制作を始めたこともあり、提げ物の制作依頼をいただけました。

完成品はこちら

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Twitterをご覧いただいてる方はご存知かもしれませんが、
中身が空洞になっており、底の方に蓋が付いているので
小さなものであれば収納できる仕様になってます。

依頼していただいた方はよく登山に行かれるということで、
提げものの中に緊急連絡先の書いた紙を入れたい、とのご要望でした。
まだまだ技術的に未熟でありながらもご依頼いただけて、形作りはもちろん
ギミック、耐候性など色々勉強させていただけて本当に嬉しかったです。
また詳細な打ち合わせなどお時間割いていただいてありがとうございました。
この場を借りて改めて御礼申し上げます。


・ワンダーフェスティバル
このブログを書いている前日にワンダーフェスティバル2019夏がありまして、
至水さんのご協力のもとGallery花影抄から複数の根付作家が作品を出展、
ということで僕もちょこっと紛れ込ませていただいてました。

当日は会場の熱気でかなりグロッキーになってしまい早々に退散しましたが、
ご来場いただいた方ありがとうございます。
また、今回お手伝いも出来ず恐縮でしたが、当日早くから準備していただいた
至水さん、楽虫さん、道甫さん、ギャラリースタッフさん、
暑い中本当にありがとうございました。


・今見たい展示
※21_21 「虫展」

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↑夏になると毎年どこかしらで昆虫系の展示やってますよね。
虫展だけど21_21の会場でどう見せるのかも気になる、、、。
小さなお子様がいらっしゃるご家庭はぜひ!


※明治大学博物館「立体錯視の最前線」

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↑こうゆう展示はシンプルに見て不思議がれるのでカップルにもオススメ。
御茶ノ水のほうなので確かカフェとかご飯屋さんも近隣にあるはず、、、。
お盆は休みなので注意。


※八王子夢美術館「横山宏のマシーネンクリーガー展」

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↑北九州市から巡回すると聞いて行かなくては!と思っていた展示。
SFへの憧れは尽きないので早めに行っておきたい〜、、


とまぁ、こんなところでしょうか。
久々に現代美術も見たい、、、時間と費用を捻出せねば、、、、

とぼやいてみたところで、今月は以上となります。
しばらく暑い日が続きます。水分と塩分の補給を忘れませぬよう。
それでは皆さま御自愛下さい。


Twitter → @moyamoyakurakur
Instagram → kenta_katakura

2019年7月 カタクラ ケンタ



  1. 2019/07/31(水) 18:27:38|
  2. カタクラケンタ(千葉)

作家便り「19年7月 /至水(北海道)」

至水です

2019年7月末、毎夏友人と二人参加しておりますワンダーフェスティバルですが、
今回はGallery花影抄を我々の卓へ巻き込んでの出店参加となりました。

先ずは会場へお越しいただいたお客様、ブースに足を止めていただいたお客様方、
誠にありがとうございました。
そして快く賛同してくださいましたGalleryと出店参加いただきました作家の方々、
イレギュラーな出店準備作業をさせてしまいましたGalleryスタッフの皆様に
心より御礼申し上げます、ありがとうございました。

そもそもの発端は、今年はGalleryが出店申し込み受付期間中の
エントリーに間に合わず不参加になったとお聞きしており、
であれば私達の出店スペースに余裕がありますので、
間借り出店しませんか?とお声がけさせて頂いたのが始まりです。
イレギュラーな出店でもあり、どうせならばと、
昨年好評を博した妖怪グループ展「勿怪の幸い」を、
ワンダーフェスティバルと言う舞台で、極々小規模の「勿怪の幸いプチ」的な扱いで
実現出来ないものかと御提案させて頂きました。

ワンダーフェスティバルの会場で、客層で、
現代根付が売れるのか?という声も耳にします、意義は?と。

至水は2013年夏のワンダーフェスティバルから参加して
途中一度出店しない年があっての今年で6度目の出店になります。
初回はレジン製の根付を製作しましたが、二度目の出店から
いつも通りの至水の「根付」を彫刻しワンダーフェスティバルへ出店しています。
それを続けている理由は一貫して「ワンダーフェスティバルの会場には
未来の根付ファンになり得る人達が絶対にいる」を信じて疑わないからです、
自分がそうだったから。
その方達にフルサイズの現代根付を提示したい、見て触れて実感して頂きたい、
そして何年か後にでもGallery花影抄の誰かしらの個展に来られたお客様が
「あの年ワンダーフェスティバルで初めて知った現代根付を
とうとう買いに来ちゃいました」と、こんな話は夢物語なのでしょうか。

今回は本当に無理なお願いでGalleryを巻き込み
所属作家の方々を振り回してしまったと、今になって心苦しさの方が
勝っているというのが正直なところですが、今回のような形で
ワンダーフェスティバルを経験された皆様がこの後どう展開されて行くのか、
御覧頂けたお客様はどう感じられたのか、
結果が見えるのはまだまだ先の事かもしれません。

あの時花影抄のブースに来られ熱心に解説を聞いて頂いたあなたと
再びGalleryでお会いする日を想いつつ、至水はワンフェス出店し続けます。

また来年も幕張メッセでお会いしましょう!

ありがとうございました。

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  1. 2019/07/30(火) 18:13:57|
  2. 至水(北海道)

「勿怪の幸いプチ」 at 「ワンダーフェスティバル2019 夏」

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このたび、昨年開催して好評だった妖怪根付の展示の続編(次回へのつなぎ?)として、
作家の至水さんの声かけによって、「勿怪の幸いプチ」 が、
「ワンダーフェスティバル2019 夏」の会場にて開催されることになりました!

至水さんの参加する「卓」にて、作家さんが妖怪の作品を並べます。
新作、旧作の妖怪ネタの根付・ストラップ・アクセサリーなど。
出品作品の画像価格等これから各SNS等で随時告知いたします。
宜しくお願い申し上げます。

「NorthStar × DeadPool」 卓番 6-28-03

【根津の根付屋から出品する作家リスト】
至水(卓主)、
一景、かぶ、カタクラケンタ、狛、道甫、中梶真武、永島信也、万征、守亜、森謙次、山鹿、楽虫


「ワンダーフェスティバル2019 夏」
2019年7月28日(日曜日) 10:00~17:00
会場/幕張メッセ 国際展示場 1~8ホール
入場料/2,500 円 (入場チケット兼公式ガイドブック/小学生以下無料)
〒261-8550 千葉県千葉市美浜区中瀬2-1
TEL 043-296-0001(代表)
オフィシャルWebサイト http://wf.kaiyodo.net
  1. 2019/07/17(水) 19:44:03|
  2. アートフェア他(根津以外での展示活動)

泉水 陶根付展「江戸千部振舞」  作家お礼とご挨拶

お陰様を持ちまして、泉水陶根付展「江戸千部振舞」@ gallery花影抄、無事に終了いたしました。

梅雨空でお天気が悪い中、たくさんの方にお出でいただきまして、心より御礼申し上げます。

今回のテーマである江戸のベストセラー本を作品にするために色々な資料を読むに当たり、
メディアは変化しても、人情物・色物・気持ち悪いもの・怖いもの・・・と、人々の興味の対象というのは
今も昔も変わらないのだなぁとしみじみとしました。

そしてその興味を取り巻く仕掛け人の存在や、売れっ子作家に求められるもの(「続編」「続続編」など)も
変わらないのが面白いと思いました。

ここ2、30年のインターネットの普及で、人々の生活や娯楽は劇的に変化し今もなお変化を続ける中、
これらの「本」がどのような形で後世に繋がれてゆくのか、少しドキドキしながら見守ってゆきたい気持ちです。

とは言え、私自身は「紙」が好きなので本は死ぬまで紙で読んでいたいなぁ。。。と思っています。
便利だけで支配される世の中になってしまうと根付などは要らなくなってしまいそうですしね。

連日の私のSNSでの展覧会関連の投稿にお付き合い下さった皆様、ありがとうございました。
また暫く作品の構想から制作まで張り切ってがんばります。

おしまい。

泉水
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  1. 2019/07/14(日) 20:22:47|
  2. 泉水/北澤いずみ(東京)

根付の展覧会のお知らせ 都留市博物館「ミュージアム都留」

山梨県都留市のミュージアム都留にて、根付の展覧会が始まりました。
現代根付もたくさん展示されています。ぜひ足をお運びください。

遊び心と細密美 根付 欧米を魅了した小さなアート
会場:都留市博物館「ミュージアム都留」
会期:2019年7月13日(土)~9月15日(日)
休館日:月曜日、7月16日、8月13日
時間:9:00~17:00、観覧料:300円
webサイトはこちら

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当ギャラリーでご紹介している作家さんの作品も多く展示されています。
また、追って展示されている作家さんたちの情報も出して参ります。
どうぞよろしくお願い申し上げます。
  1. 2019/07/14(日) 14:30:27|
  2. 美術館・展覧会情報など

作家便り2019年7月 利歩(奈良)

奈良で根付作りをしております、利歩(りっぽ)です。
ご無沙汰しております。
奈良に住んでおり、根付以外にも鹿角を加工する事もあるのですが、
それらを見て鹿角にも色々な色や形があるなと思い写真に撮ってみました。

鹿角の表面にも主に茶色、白、クリーム色のものがあり
(グレーの物もありますね。)詳しい方に教えて頂いた所では、
表面が茶色のものは鹿が角を木に擦り付けた際に
木の樹皮の色が角に染み付き?茶色になったという事らしいです。
この茶色の表面をそのまま生かした根付もありますね。

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また中身の詰まり具合にも色々な物があり、
中が空いている物から良く詰まった物まで色々とあります。
右の中身の詰まっている物は根付に使う物ですが、
左や真ん中の中身の空いている物が一般的な物で
(真ん中の物でも中身が詰まっている方だと思います)
根付に使えるような中の詰まった鹿角はなかなか数が少ないようです。

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鹿の角は一年に一回生え変わるとの事ですが、
この様なしっかりした物が毎年生えてくるという事にも驚きです。
有り難く使いたいと思います。

今回は、「葉に蛙」の根付を奈良の鹿角で作らせて頂きました。
これからは鹿角の根付もコンスタントに制作していければと思っています。

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奈良にお越し際は是非奈良公園まで、鹿に触れ合いに来てください。
  1. 2019/07/12(金) 14:35:52|
  2. 利歩(奈良)

泉水 陶根付展「江戸千部振舞」出品作品

泉水 陶根付展「江戸千部振舞」
2019年7月6日[土]~14日[日] ※8日[月]休廊
13:00~19:00、最終日は18時まで
Gallery花影抄

●出品作品の御紹介です。


貸本屋「真似ゑもん 逢瀬を覗く」 
陶 3.0×2.2×2.0cm 
「真似ゑもん 逢瀬を覗く 貸本屋にて」
艶色風流真似ゑもんより、真似ゑもんの登場です。
仙女から妙薬を貰い、豆粒大の小人になった真似ゑもん、
色道修行に出かけ、あちらこちらで現場や出来事を見物します。
今回は貸本屋の本の陰でネズミ達の逢瀬を覗いています。
ちなみにフランス語で「本の虫」の事を「図書館のねずみ」と言います。
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「江戸生艶気樺焼」 艶二郎 讀賣を読む 陶 5.0×3.2×2.9cm
『江戸生艶気樺焼(えどうまれうわきのかばやき)』山東京伝 作/北尾政演(京伝のペンネーム) 画(1785年)
黄表紙(滑稽本)主人公はぶた鼻がチャームポイントの金持ちのひとり息子・艶二郎(19歳)。
ブ男ながら艶二郎の夢は「モテまくって世間の噂になること!」
悪友2人を相談役に、金にものをいわせて三角関係を演出したり、
心中に憧れてヤラセ心中をやってみたり色男になるため奮闘する艶二郎が次々と失敗するお話。
「艶二郎 讀賣を読む」
役者の家に熱狂的な女ファンが思い余って駆け込んでくるのを羨ましく思い、
芸者おゑんを金で雇い自分の家に駆け込ませ、近所の噂になろうと図るも全く噂にならず、
艶二郎は張り合いをなくし、読売を金で雇い、おゑんの件の摺り物を江戸中で売らせた。
艶二郎はくしゃみをするたびに世間が自分のことを噂しているだろうと思うが、
隣家にさえ伝わってはいないのだった。
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「好色一代男」 女護島へ 陶 5.0×3.2×2.6cm
『好色一代男』(1682年)井原西鶴
浮世草子の始めと言われる作品。
54章から成る構成は『源氏物語』によっている。
富裕な上方町人の子、主人公世之介が7歳で腰元に恋を知り以来、従姉、仲居女、後家などを相手に恋を重ね、
34歳で父の遺産を継ぎ莫大な遺産をもとに江戸、京、大坂三都の遊里を中心に各地の遊里をめぐり尽したあげく、
60歳のとき「好色丸(よしいろまる)」という船を仕立て伝説の女だらけの島、女護島へ船出するまでを描く。
「女護島へ」
好色丸に乗り込んでハーレムへ向かうセイウチ君
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「曽根崎心中」 夢の夢こそあはれなり 陶 4.9×3.4×2.5cm
『曽根崎心中』(1703年)近松門左衛門
近松作世話浄瑠璃の第一作、
曽根崎天神で起きた醤油屋の真面目な手代・徳兵衛と天満屋の美しい遊女・お初との情死事件を扱ったもの。
「夢の夢こそあはれなり」
友人に金をだまし取られ、なす術なく死を覚悟した徳兵衛を人に見られぬ様、天満屋の縁の下に隠しつつ、
足を使って「共に行きます」と心中の決意を伝える名シーン。
*心中する前に食べられちゃうんじゃないかって心配はしないでください。
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「北越雪譜」 雪男 陶 4.2×3.7×2.9cm
『北越雪譜(ほくえつせっぷ)』(1837年)鈴木牧之
鈴木牧之は豪雪地帯である越後国魚沼の出身で、
江戸へ来た際に江戸の人々が雪国の暮らしを全く知らないことに驚き、
雪国を知ってもらおう!との思いで描いた随筆。
雪の結晶のスケッチや成分解説から、暖かい国との違い、
名産品、雪国ならではの奇習や奇譚、山岳地方の方言などがイラストと共に生き生きと描かれています。
「雪男」
書中の「異獣」という章に、山中に現れ旅人のおにぎりをねだり分けてもらうと、
お礼に荷物を担いで道案内をしてくれる毛むくじゃらの異獣が紹介されています。
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「南総里見八犬伝」 伏姫 陶 4.1×3.5×2.6cm
『南総里見八犬伝』(1814~42年)曲亭馬琴
因果応報・勧善懲悪をテーマにした28年をかけて完結した全98巻、106冊の大長編読本。
「犬」の字を含む名字を持つ八犬士は、
それぞれに仁・義・礼・智・忠・信・孝・悌の文字のある数珠の玉(仁義八行の玉)を持ち、牡丹の形の痣が身体のどこかにある。
関八州の各地で生まれた彼らは、それぞれに辛酸を嘗めながら、因縁に導かれて互いを知り、里見家の下に結集する。
「伏姫」
里見領の飢饉に乗じて隣領館山の安西景連が攻められ落城を目前にした義実は、
飼犬の八房に「景連の首を取ってきたら娘の伏姫を与える」と戯れを言う。
八房は景連の首を持参して戻って来た。
八房は義実にあくまでも約束の履行を求め、伏姫は君主が言葉を翻すことの不可を説き、八房を伴って富山に入る。
富山で伏姫は読経の日々を過ごし、八房に肉体の交わりを許さなかった。
伏姫は山中で出会った仙童から、八房が義実に斬首された玉梓の呪詛を負っていたこと、
読経の功徳によりその怨念は解消されたものの、八房の気を受けて子を宿したことが告げられる。
懐妊を恥じた伏姫は、折りしも富山に入った金碗大輔・里見義実の前で割腹し、胎内に犬の子がないことを証す。
その傷口から流れ出た白く輝く不思議な光は姫の数珠を空中に運び、仁義八行の文字が記された八つの玉を飛散させる。
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「雨月物語」 夢応の鯉魚 水に遊ぶ 陶
『雨月物語』(1776年)上田秋成
9話から成る、和漢の作品を典拠とした怪異小説集。
思想や倫理観を乗越えて、純朴な人間像を描く。
「夢応の鯉魚 水に遊ぶ」
9話のうちの『夢応の鯉魚』は、鯉の絵を描く事に達者であった僧、興義が、
病に伏す折、琵琶湖に向かい金色の鯉に変身し自由に泳ぎ遊ぶ夢を見る。
琵琶湖の遊泳場面を太宰治、三島由紀夫は絶賛しており、後に太宰は『魚服記』を書く。
『夢応の鯉魚』の主人公は一度魚になる自由を得るが、人間に戻ることを願い、
『魚服記』の主人公は魚になることで解放される。
自由とは何か?
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「東海道中膝栗毛」やじさんスッポンに咬まれる 陶 3.7×3.0×2.7cm
『東海道中膝栗毛』(1802~09年)十返舎一九
お江戸・神田八丁堀の住人、栃面屋弥次郎兵衛と、居候の喜多八は、不運が続き、
つまらぬ身の上に飽き果て、厄落としにお伊勢参りの旅に出ることを決意した。
身上を整理して財産をふろしき包み一つにまとめ旅立った二人は、
東海道を江戸から伊勢神宮へ、さらに京都、大坂へとめぐる。
2人は道中で、狂歌・洒落・冗談をかわし合い、いたずらを働いては失敗を繰り返し、行く先々で騒ぎを起こす。
初編の想像を超える大ヒットを受け続編は初編から数えて21年後にようやく完結した。
のち、続々編も書かれたが、一九の死去により未完に終わった。
「やじさんスッポンに咬まれる」
三島市市の山で子供がスッポンをいじめているのを見つけ、金を出して助けてやる。
「今晩の酒の肴にするつもり」と弥次さん「助けているのかどうか」と喜多さん。
二人は宿に着きすっかり酔っ払ってスッポンの事は忘れて眠ってしまう。
床の間に藁で包まれて置かれたままのスッポンは藁を食いちぎり、弥次さんの布団に入り指をガブリで大騒ぎ。
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「浮世風呂」お目当て 陶 4.2×3.7×2.2cm
『浮世風呂』(1809~13年)
式亭三馬 作/北尾美丸 画
滑稽本。詳しくは『諢話 (おどけばなし) 浮世風呂』三馬の出世作とされる。
江戸下町の銭湯という庶民の社交場を舞台に、そこに来る客同士のやりとりをいきいきと描く。
中風の男、職人、隠居、医者、番頭、子供、女郎上がりの女、おしゃべりな女房、江戸の女、上方の女、
それぞれの登場人物の会話の徹底した写実は国語資料としての価値も大きいとされる。
「お目当て」
カピバラお母さんの背中を流す子カビバラのお目当ては?
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「春色梅児誉美」並枕 陶 3.7×3.2×1.9cm
『春色梅児誉美(しゅんしょくうめごよみ)』(1832~33年)為永春水
人情本。
吉原の遊女屋唐琴屋の養子で優男の丹次郎は、悪番頭に家を追われて落魄している唐琴屋の娘で許嫁のお長、
丹次郎の恋人で唐琴屋の内芸者だったが後に深川の芸者になった米八、米八の傍輩芸者仇吉の3人が、
それぞれ義理と意気地をみがきながら尽くす複雑な恋愛関係を描く。
江戸末期、丹次郎は色男の代名詞になる。
「並枕」 
枕を並べるのではなく梅の枕に並ぶ、メジロ達。
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「吉原細見」玉猫屋 冨きげん 陶 3.8×3.8×2.9cm
『吉原細見(よしわらさいけん)』
細見売りが遊廓内で売り歩く、
簡単な地図や、妓楼、各妓楼の遊女の名前、料金などが書かれていた吉原遊廓についてのガイドブック。
17世紀から1880年代まで約160年間にわたって出版されつづけた日本史上最も長期にわたる定期刊行物。
「玉猫屋 冨きげん」
エゴサ*をして不評だったのか、不機嫌になる猫の「冨きげん」さん。
*=エゴサーチ (egosearching)検索エンジンなどを使って自分の本名やハンドルネームを検索し、インターネット上における自分自身の評価を確認する行為のこと。
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「武鑑」あこがれ 陶 4.2×3.2×3.0cm
『武鑑』
江戸時代になって多数の武士と取引を行う町人達にはそれらの家を判別する必要があった。
武鑑はそのための実用書であり、大名を記載した大名武鑑、旗本を記載した旗本武鑑などがある。
武家の当主の氏名・官位・家紋・石高・役職・内室・城地・格式・幕府への献上品・行列の指物・用人等が記され
1年ごとに出版が行われ、役職などの移動に対応した。
桜田門外の変において井伊直弼を襲った浪士たちは、武鑑を手にして大名駕籠見物の田舎侍を装ったという逸話があり、
庶民には現在のスポーツ選手名鑑の様な読み物だったのでは?
「あこがれ」
憧れの侍を言い合う虎の仔とサイの仔
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「養生訓」秘訣 陶 3.0×2.8×2.3cm
『養生訓(ようじょうくん)』(1712年)貝原益軒
健康・健康法についての指南書。益軒83歳の著作で、実体験に基づき健康法を解説した書。
長寿を全うするための身体の養生だけでなく、精神の養生も説いている。
「秘訣」
「酒は天の美禄なり」と漢書から引用しつつ、「酒を飲には、各人によつてよき程の節あり。
少のめば益多く、多くのめば損多し」と言っていますよ、カメさん。
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「豆腐百珍」夕餉の支度 陶 4.5×3.7×2.4cm
『豆腐百珍』(1782年)曽谷学川(戯号:醒狂道人何必醇)
豆腐料理100種類を「尋常品」「通品」「佳品」「奇品」「妙品」「絶品」の6段階に分類・評価し
豆腐の歴史やうんちくなども盛り込んだレシピ本の走りで、
この後『豆腐百珍続編』、『豆腐百珍余録』などの続編が出版され、
さらには蒟蒻・鯛・甘藷の百珍本もベストセラーになった。
「夕餉の支度」
今日の豆腐は「絶品」に調理したいウサギさん。
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「北斎漫画」不死鳥 陶 4.0×3.2×2.8cm
『北斎漫画』(1814~78年)葛飾北斎 
北斎が55歳の時に初編が出版された、人物や動植物、風景、風俗、妖怪変化まで、
森羅万象を描いたおよそ4000以上ものスケッチの絵手本画集。
北斎が90歳で亡くなったあとも出版され続け、初編出版から65年後に全15編で完結したロングセラー。
「不死鳥」
北斎も『北斎漫画』も今もなおファンを魅了してやまない不死鳥のようです。
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「犬狗養畜伝」猿犬の仲 陶 4.1×3.4×2.2cm
『犬狗養畜伝(けんくようちくでん)』(1842年)暁鐘成
江戸版「いぬのきもち」餌の作り方、与え方、病気や寄生虫けがの治療法などが
犬の可愛いイラスト入りで書かれています。
そしてこの本は世界に先駆け、飼い主に終生飼育を訴えています。
「狗は則ち人間の小児と心得べし。
その養い方悪しくして狂犬病犬と成り、人を咬むがゆえに遠き山野に捨てること不憫ならずや」その通り!
「猿犬」
犬猿の仲のサルも責任をもって可愛がります。(犬猿がひっくり返って仲良しってことで。。。)
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「女大学」 DO NOT IMPOSE! 陶 4.5×3.2×2.6cm
『女大学』(江戸時代中期~後期)
江戸時代中期以降広く普及した女子教訓書。四書五経のひとつである『大学』のこと。
「DO NOT IMPOSE!」
女はこうあるべき!といった古い考えを押し付けないでほしい、ハダカデバネズミ。
(因みにハダカデバネズミは哺乳類では数少ない真社会性の社会構造を持ち、60-70匹のコロニーで頂点に君臨するのは女である!)
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「解体新書」 陶 4.7×3.6×2.7cm
ドイツ人医師のヨハン・アダム・クルムスの医学書『Anatomische Tabellen』のオランダ語訳である
『Ontleedkundige Tafelen』を元に前野良沢と杉田玄白らが翻訳執筆編集、1774年に刊行された。
「Tabulæ Anatomicæ(ターへル・アナトミア)」はラテン語で「解剖図表」。
1771年、医師の杉田玄白・中川淳庵と蘭学者で医師の前野良沢らは、小塚原の刑場において罪人の解剖を見学した。
玄白と良沢の2人はオランダ語の解剖学書『ターヘル・アナトミア』をそれぞれ所持しており、
玄白は実際の解剖と見比べてこの本の正確さに驚嘆し、
今まで間違った人体に関する知識で治療を行ってきた事は面目ないとし、
これを翻訳しようと良沢らに提案、翌日より翻訳に挑む。
長崎に留学経験のある良沢が玄白らにアルファベット、算用数字を教えるところから始まり、
足掛け四年で完成に至る。
「Tabulæ Anatomicæ号」
カエルの解剖?ではありません。ターヘルアナトミア号です。
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「諺 臍の宿替」耳はたこ 陶 3.6×3.1×2.3cm
『諺臍の宿替(ことわざへそのやどかえ)』(幕末~明治初期)一荷堂半水 文/歌川芳梅 画
幕末の上方で大ベストセラーとなり明治まで出版が続いた、
ことわざをシュールな絵と共に面白おかしく解説したロングセラー。
『諺臍の宿替』というタイトルの意味は「ヘソがお引越ししちゃうくらいおもしろいよ!」ということらしいです。。。
「耳はたこ」
こちらは今でも使うことわざです。
「『酒ばっか飲んでるんぢゃないよ!』なんて、耳にたこができらぁ」と、
念書まで書かされたのに飲んでるオヂサン。タコ違いだけどね。
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「塵劫記」寺子屋にて 陶 3.9×3.8×3.4cm
『塵却記(じんこうき)』(1627年)吉田光由
社会経済の発達に伴い、人々の生活にも基礎的な算術の知識が必要となり、
命数法や単位、掛け算九九から面積の求め方などを身近な話題をもとに解説し、
これ一冊で当時の日常に必要な算術全般をほぼ網羅できる内容となっている。
「寺子屋にて」
先生も自ら勉強しつつ落ち着かない子ネズミ達にネズミ算を教えるところ?
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作品へのお問い合わせは、Gallery花影抄まで。
宜しくお願い申し上げます。
Eメール netsukeya@hanakagesho.com
電話/FAX 03-3827-1323
  1. 2019/07/10(水) 18:23:13|
  2. 泉水/北澤いずみ(東京)

佐野藍が、「第五回 神保町ヴンダーカンマー」に参加します。


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佐野藍が、【第五回 神保町ヴンダーカンマー】に参加します。
場所:奥野かるた店2F会場
会期:7月13日(土)~8月18日(日)
休廊日:8月13日(火)~15日(木)
平日・土曜12:00から18:00
日曜・祝日12:00から17:00

株式会社奥野かるた店 
〒101-0051 東京都千代田区神田神保町2-26
TEL:03-3264-8031 FAX:03-3230-1512

※詳細は以下を御覧くださいませ。

【佐野藍 Twitter アカウント】
https://twitter.com/Ai_shirokoumori

【第五回 神保町ヴンダーカンマー公式webサイト】
https://jimbochowunder.tumblr.com

【奥野かるた店webサイト】
http://www.okunokaruta.com/index.html
  1. 2019/07/09(火) 20:45:55|
  2. 佐野 藍(東京)

泉水 陶根付展「江戸千部振舞」始まりました!

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【展覧会情報】
泉水 陶根付展「江戸千部振舞」
2019年7月6日[土]~14日[日] ※8日[月]休廊
13:00~19:00、最終日は18時まで
Gallery花影抄
「千部振舞」とは江戸時代のベストセラー本。泉水の見立てて御紹介します!
※作家も在廊しています。
  1. 2019/07/06(土) 23:59:50|
  2. 泉水/北澤いずみ(東京)

作家便り 「2019年7月/森謙次 (高知)」 


今年は梅雨入りがかなり遅く、やっと雨が降るようになりました。
僕の住んでいる所ではもうすぐ稲刈りも始まる予定で、忙しくなってきます。

そんな中、高知県が発行している地元情報冊子”とさぶし”の27号で
宝石珊瑚特集があり、僕の事も取り上げてもらいました!
嬉しかったです!

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今は根付をメインにしていますが、小さい頃から馴染んできた珊瑚も
大事に思っているので、こうして関われると感慨深いですね。
これからも地元の素材を使いつつ根付制作も頑張りまーす!

  1. 2019/07/04(木) 22:00:00|
  2. 森謙次(高知)

【泉水 掲載情報】 月刊美術2019年7月号 「今月の注目展」

発売中の月刊美術2019年7月号 「今月の注目展」のコーナーで、
開催の迫る泉水展の御紹介を頂いています。

泉水 陶根付展「江戸千部振舞」 Gallery花影抄
7月6日(土)〜14日(日)
月曜休


江戸時代のベストセラーを題材にした陶根付の新作が並ぶ本展。

「大学ではフランス文学を専攻していた作家の感性が、江戸の出版文化とどう響き合うのか、期待が高まる。」

と誌面で書いていただきました。

皆様の御来場を作家共々、お待ちしております。
何卒宜しくお願い申し上げます。

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月刊美術-webサイト
http://www.gekkanbijutsu.co.jp
  1. 2019/07/03(水) 11:15:22|
  2. 泉水/北澤いずみ(東京)

作家便り2019年7月/「老根付師 徒然草 文月」 齋藤美洲(埼玉)

七月なのに何故か文月。
旧暦の事もあって、稲の穂が出る時期故に、穂を見る月が変化して、
文月と呼ぶ様になったと聞く。

高校時代、校舎から1KM先に駅があり、登校路の回り一面が田圃だった。
稲穂が出て、緑の内は、さざ波の如く揺れて、見えない風を知らされる。
秋、田全体が黄金色に変わり、強い風の時は、台風の時の大波の様に、
波長の長い大きなうねりとなり、豊穣を知らせる姿は圧巻であった。
若き日の一情景。


老婆心
5月、花影抄にて、ドイツの根付彫刻を志す青年と話をした。
本来は画家であるが、立体に興味を持ち、根付を選んで6年を経るという。
PCの時代、根付に関する情報は得られるが道具や造り方に関しては得にくいという。
私の道具や作品も見せ、彼の作品、折しも若手作家の個展開催中であったため
その作家の作品を見ながら、他の若い作家、来展したベテラン作家たちも同席しての
長時間の根付談義は、私が若い頃の仲間たちとの会話が想起されて、
熱が入り面白く、かつ有意義であった。
ドイツ根付師の作品向上の一助になったらと願う。

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会話中の感想である。
若い作家たちが志すべきものは、己の作品のランクアップと思う。
古今の名作から駄作までを十段階に分けたとき、自作が何処に位置するかを
客観視し、上に上るには?と模索する姿勢が必要と思われる。
そのためには、美術作品全体を鑑賞し、名品に触れ、
自分が創りたい姿を発見することと確信。
そして、根付師たちとの会話も大切である。
人の仕事、言葉から得るものを吸収し、己の血肉にすることが出来る大切な方法だ。

ランクアップの必要性は、長く根付師の座に留まる為のものである。
一時、人気が出て売れても、その情況に満足して同じクオリティの
作品を出し続ければ、世間の眼は、他に移っていくだろう。
難しい世界である事の、多例を知っているからこそ云える。

この想いから、若い作家や他の人に、作品ランクアップの為、
集まる機会を持ったらと聞いたが、興味を示す言葉はなかった。
年寄りが音頭をとる事なく、これからの人の熱が自発的に
行動を起こすべき事ゆえに、拍子抜けと同時に、我が老婆心に苦笑。


孤独
我々根付師の作業は孤独な日々である。
ただ、脳内にての想いは仕事場を離れ、様々なものだ。
人生、生活、対人、etcあるが、己の作品向上について考える。

人は己を知る為に生まれ、己を見る為に作る、との言は私の座右の銘である。
自分の作品を見て己を知ることは、自作に対する客観で、
より向上の可能性を高めたい者は、孤独ゆえに他者を求め、
他者の言を知ろうとする。
比較、対比によって、他者と己の違いを知り、
より己の本質を知ることが出来るからだ。

他に、孤独を楽しみ、自分の世界に浸り、自分の世界を作り上げ満足する。
他者、他作、他言を容れぬ、いわゆるオタクもある。
例外として、同じ有様でいながら秀作を創る人もいる。
良く観察すると、根付、彫刻、美術の基礎を吸収し、
己が目指すべき理想像を描き得ている。
天才肌というべき根付師も見てきた。
根付師は、それぞれに自分のタイプを知るのも、
自己発見と向上の一助かもしれない。

  1. 2019/07/01(月) 10:00:00|
  2. 齋藤美洲(埼玉)