泉水 陶展 「変わる東京 変わらぬ江戸」2016/6/25(土)~7/3(日)
※6月27日(月)休廊
13:00〜19:00(最終日は18:00迄)
■作家の言葉 泉水 IZUMI
1964年のオリンピックで東京の街はそれまでの様相から一変した。
中心部の川には蓋がされて高速道路が通り、海の上に街が出来、木造建築は壊されて高層ビルに変貌した。
2020年のオリンピックに向けて東京はまた、大きく変わろうとしている。
150年前の江戸の地図を見て、地形や大きな道路が変わっていない事に、なんとなくホッとしたりするのはなぜだろうか、と思う。
今、刻々と変化する東京に私が追い付いていないからなのだろうか。。。150年後の東京はどんなだろう。
そんな事を考えながら、広重の「名所江戸百景」を見ていたら、
彼の残したかった江戸の風景が、とても鮮やかに目の前に広がって見えた。
メディアの発達で150年後の人々が今の東京を鮮やかに感じる事はもっと簡単だろうと思う。
それでも、変わるものと変わらないもの、変わってしまうものと変えたくないもの、
私が残したり、大切にしたいものってなんだろう?
今回の「変わる東京 変わらぬ江戸」は、そのような所から発想して広がった。
江戸の、東京の、過去現在未来に思いを馳せながら。
1 名所江戸百景 「名所江戸百景と祈り」
安政元年の大地震は駿河湾から遠州灘一帯を震源とするM8の東海地震がら始まり、
翌日紀伊半島沖一帯を震源とするN8の南海地震、大津波。
翌年M7の江戸での大地震。
広重が「江戸百」に取り掛かったのは江戸の大地震から約三か月後の事であった。
「江戸百」の作成動機はこの大地震による江戸の崩壊に合ったのではないかという説がある。
その事を念頭に「江戸百」を改めて見てみると、またちがう趣を感じる。
広重は江戸の定火消の家に生まれ家督を継ぎ、その後浮世絵師となった。
それらを踏まえ、火消の広重自身(白象)に鯰を抑え込んでもらいました。
江戸と東京の安泰を祈りながら。
(泉水)

「名所江戸百景と祈り」 陶根付
2 亀戸天神境内 「亀の天神さま」
亀戸天神は1646年太宰府天満宮の神主大鳥居信祐が、
悪夢を得て菅原道真像を神木の「飛梅」で彫り、
江戸に下り亀戸村に小祠を建てたのがはじまりという。
太鼓橋も心字池も藤の花も昔の様相を留めている。
現在、心字池には合格祈願のお礼として参拝者が放流したたくさんの亀がいる。
(泉水)


「亀の天神さま」 陶根付
3 墨田河橋場の渡かわら竈 「今戸焼」
今戸竈では瓦や神社の縁起物が焼かれた。
現在は一軒をのこし、護岸工事によって公園に変えられ、
対岸には高速道路が走り、ビルが建ち並ぶ。
こちらは今戸の招き猫を作る猫になった私です。
(泉水)

「今戸竃」 陶根付
4 王子装束ゑの木大晦日の狐火 「狐の行列」
王子稲荷の近くに装束榎と呼ばれる大木がある。
大晦日の夜、関八州の狐がこの木の下に集まり、高く跳んだ順に官位を授かり、
命婦装束を着て王子稲荷社に参拝した、という伝説を広重は絵にしている。
この榎はもう無いが、王子では、平成5年からこの伝承を元に大晦日に狐に
扮し関東稲荷総社である王子稲荷社に初詣を行い、
王子の一大行事「狐の行列」となっている。
こちらは人々が行う狐の行列に混ざる本物の狐。
(泉水)


「狐の行列」 陶根付
5 日本橋江戸ばし 「初鰹」
日本橋を中心に江戸の町は広がり、幕末には経済の中心地となった。
江戸橋と日本橋の間の北岸には1日千両の商いが行われた魚河岸があった。
「女房を質に入れても初鰹」とうたわれた大好物を手に入れたのは、
女に化けた猫。
(泉水)

「初鰹」 陶根付
6 高輪うしまち「江戸 東京 わんこ」
浮世絵の高輪は海が広がるだけの殺風景な場所に大八車にスイカの皮、
虹と愛らしい子犬を描き、日常の風景を豊かに描いている。
江戸も東京も子犬の愛らしさは変わらない。
(泉水)


「江戸東京わんこ」 陶根付
7 堀切の花菖蒲 「見かえる美人」
向島は分流が多く、海抜0メートル地帯の湿地帯は花菖蒲の育成に好条件だった。
堀切での栽培は文化年間(1804~18)土地の百姓伊左衛門により始められ、
評判になり様々な新種を生み出し江戸随一の菖蒲園を作った。
こちらは花菖蒲を摘む美人の着物の花菖蒲の絵にとまるトンボを狙うカエル。
(泉水)


「見かえる美人」 陶根付
8 両ごく回向院元柳橋 「柳橋、つる八」
柳橋は江戸中期からある花街。
1999年まで柳橋花柳界は存続しており、今もその面影を残しています。
「柳の下のドジョウ」より、ドジョウに三味線を弾いてもらっています。
つる八の名は成瀬巳喜男の映画より。
(泉水)



「柳橋、つる八」 陶根付
9 永代橋佃しま「春告げ」
佃島は、摂津国西成郡佃村から幕府に呼び寄せられた漁民が住み着いた島で、
漁民たちは白魚を捕って将軍家に献上した。
白魚と桜草が隅田川の名物早春に、尾久あたりまで屋形船をくりだして溯り、
白魚を漁り、岸に着けて桜草を摘んで紅白にして土産にした。
江戸名所花暦より
『花のころはこの原、一面の朱に染むごとくにして、
朝日の水に映ずるがごとし。またこの川に登り来る
白魚をとるに、船にて網を引き、あるひは岸通りにて
すくひ網をもつて、人々きそひてこれをすなどる。
桜草』赤きに白魚を添へて、紅白の土産[いえづと]
なりと、遊客いと興じて携へかへるなり。』
春を告げるウグイスに、早春のお土産を持ってもらいました。
(泉水)


「春告げ」 陶根付
10 芝愛宕山 「毘沙門のおつかい」
強飯式の神事で毘沙門の使いが、山盛りの飯を食べろと強いる。
無病息災や家運長久の運を授かるといわれていた。
愛宕神社では現在は行われていないが、
日光の輪王寺等に修験道の儀式として今も伝えられている。
こちらでは山盛りのご飯を少し食べてしまった雀がおつかい。
(泉水)

「毘沙門天のおつかい」 陶根付・緒締
11 両国花火 「らいでんためえもん」
両国の花火は1733年将軍吉宗が、
前年の飢饉などによる死者の慰霊と悪霊退散を祈って行った水神祭に始まるといわれる。
雷電爲右エ門は江戸時代に大相撲史上未曾有の最強力士と称された。
こちらでは水神祭に因んで、泳ぎの上手なカエルに悪霊退散を託し、
強い「らいでん」となってもらいました。
(泉水)

「らいでんためえもん」 陶根付
12 水道橋駿河台 「鯉に憧れ」
浮世絵では、神田台から駿河台の武家屋敷を俯瞰する。
端午の節句に屋敷では鍾馗の幟、吹き流し、旗印が飾られている。
町家では鯉が龍門の滝を昇ると龍となったとの伝承から
「立身出世」の願いにより、鯉のぼりが多く飾られた。
こちらはフナで、鯉のぼりに憧れ、立身出世を願って菖蒲酒をいただいています。
(泉水)


「鯉に憧れ」 陶根付
13 猿わか町よるの景 「芝居のかえり」
日本橋界隈、葺屋町、木挽町などで営業していた芝居小屋が、
1841年の火災を機に浅草北東部に集められ、
江戸歌舞伎の創始者猿若勘三郎に因んで猿若町と名付けられた。
浮世絵では芝居が跳ねた後の夜景。
こちらは猿が(猿?)芝居を観劇した後に小屋の若男衆におくられる様子。
(泉水)


「芝居のかえり」 陶根付
14 神田明神曙之景 「2016年のお参り」
神田明神は江戸総鎮守で、大己貴命(大国主命)と平将門の二神を祀っている。
浮世絵では日の出と共に始まる朝のお清めの作業の静けさを描いている。
2016年現在の神田明神にお参りに行くと大分様相が違っている。
人気のマンガアニメとのコラボレーションによる効果で、
休日にはたくさんの若者が訪れている。
礼儀正しく参拝する姿は、江戸も東京も同じ様。
(泉水)



「2016年のお参り」 陶根付
15 廓中東雲 「廓ちゅう東雲に見送る(真似ゑ門と共に)」
浮世絵には、吉原で一夜を過ごした客が東雲が上がる直前に、
遊女に見送られるところが描かれる。
こちらで見送るのはネズミ(廓チューなので)の遊女と一夜を覗いていた真似ゑ門。
(泉水)


「廓ちゅう東雲に見送る(真似ゑ門と共に)」 陶根付
展覧会場では、元になった浮世絵の資料や、江戸東京の風景が描かれた蕎麦猪口と一緒に、
陶根付の数々が並んでいます。是非、会場にも足をお運びください。
※お問い合わせは、Gallery花影抄 03-3827-1323 netsukeya@hanakagesho.com まで。
- 2016/06/30(木) 21:40:57|
- 泉水/北澤いずみ(東京)
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こんにちは!かわさきみなみです。
7月の個展まであと1ヶ月を切ってしまいました!毎日子犬の制作に励んでおります。

今回の展示のイメージは、大きい犬のまわりをすごく小さい犬が囲んで自由に
過ごしている風景を思いついて、これを形にしたら大きさの対比が面白そう、と
思ったことから始まりました。只今制作中のたくさんの小さな子犬は、子犬の中
で生まれる様々な感情をイメージしています。
ころころと敏感にココロを動かして、新しい自分を生み出しながら成長していく子犬
の姿を表現できたらと思っています。
「かわさきみなみ展 子犬ココロ」2016年7月16日(土)~7月24日(日) ※休廊日 7月19日(火)
13:00~19:00 ※最終日は18:00迄
また、個展と同時期にグループ展にも参加します!
「クラムボン展」 地図は
こちら会期 2016年7月18日(月・祝)11:00~17:00
会場 hair&make クラムボン (
http://www.crambon.jp/)
千葉県浦安市北栄2-22-10
こちらは、私の通っている美容院「クラムボン」の10周年記念のイベントです!
クラムボンと繋がりのある、浦安を拠点に活動している作家の作品を集めた
展覧会ということで、私にも声をかけて頂きました。
お洒落で居心地のいいお店で、行くたびに元気と創作意欲の湧いてくる大好き
なお店です。10周年記念の企画に参加することができて、とっても嬉しいです。
出品される作品は、額縁、アクセサリー、ジュエリー、スケートボード廃材ブランド、
木版画、写真、革小物、木工、Green&Flower、帽子、メタルアート
ハンドドリップ珈琲・お菓子…など色々なジャンルの作品が集まります。
どんな展示になるのか、私も今からとても楽しみにしています。
7月18日一日限りの展示ですが、お近くにお越しの際には
是非お立ち寄り下さい!


- 2016/06/29(水) 19:27:58|
- かわさきみなみ(千葉)
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「現代根付作品特集」日本橋三越本店 本館6階 美術工芸サロン
2016年6月15日(水)〜28日(火)
午前10:30〜午後7:30まで。
webサイト-三越の美術Gallery花影抄/根津の根付屋から出品協力しています。
【出品作家】
泉水 上原万征 加賀美光訓 金井麻央 壽堂 道甫
中梶真武 永島信也 森謙次 吉見普光 罠兎 齋藤美洲
日本橋三越の御客様に「現代根付」を御覧頂きたいという企画で、常設展示を拡大したような展示です。
Gallery花影抄/根津の根付屋で常設している根付作品の中から各作家1〜3点ほどの出品展示です。
新作発表は、上原万征(2点)・壽堂(自在龍の火炎ゴールドバージョン)・永島信也(1点)・森謙次(1点)となっております。
何卒宜しくお願い申し上げます。
- 2016/06/14(火) 10:29:52|
- アートフェア他(根津以外での展示活動)
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展覧会が近づいて参りました。
昨年は広重の「東海道五十三次」をテーマにさせていただきましたが、
今年も広重から「名所江戸百景」を参考にさせていただきます。
江戸百景は大胆な構図や、どうやって描いたのかしら?と思うような俯瞰図、
大袈裟な遠近法が魅力的な作品連で、とても好きなのですが、風景画ですので
登場人物や登場動物は少ないです。また、よく語られているように、江戸の名所
としては地味な場所も多く、根付のモチーフにする事はなかなか難しいものでした。
そこで、現地に行って何か探そうと言うことになり、暇な時に江戸百巡りをしていました。
神社等では「ここ!」と、感心するほど雰囲気を留ており、片手に持った画集と見比べ、
楽しくなりました。全く面影のない場所も多々あり、それはそれで想像力を掻き立てられ、
石ころや大木はかつての物かも知れない等と思えば色々と感じ入るものがありました。

↑こちらは江戸百景ではありませんが、広重の柳橋…

と、現在の柳橋。
そうしているうちに、味気なく思えていたコンクリートジャングルも、各々が主張しすぎる
余りにどれも目立たない看板たちも、100年、200年後には失われている物たちなのかも
しれない、と思うと少しばかり愛しく思えたりするのでした。
物を作る者としては、様々に変わっていく環境や人々の中でも、大事にされ、愛され、
残って行く物を作りたい、と、心から思います。
泉水
- 2016/06/11(土) 12:06:36|
- 泉水/北澤いずみ(東京)
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くもり空を描こう。
油絵の具を使って。
白、黒、赤と青、黄色の絵の具を混ぜ合わせて。
豚毛の筆を使って。
小さく手を動かして、焦らず積み重ねていこう。
決して走らずしかしのんびりでもなく、
思いがなくならないうちに、いきおいがなくならないように。
一息に進めよう。
だけど次の日に続けても良いことにしよう。
無理矢理に終わりにしてはいけない。
終わるときに終れるように。
色数はあまり沢山使わないこと。
はじめに出した絵の具をだけを使って、それ以外は手を付けないこと。
しかし絵の具をパレットに出すのを怠らないように。面倒くさがってはいけない。
大切なのは絵も自分も生き生きと息をしてフレッシュであること。
2016.6月 森栄二

- 2016/06/10(金) 12:18:10|
- 森栄二(葉山)
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伊勢志摩サミットが終わって、ホッとしている紫苑です。
別に悪いことしている訳ではないですけど、
警察がいたる所にいて、車で市内を走ることですら億劫になってたんで、やれやれです。
3年ほど前の台風で、いつも夜叉を採ってた海岸沿いの木が折れたり、
倒れて朽ちたりして、夜叉が採れる木が本当に少なくなってしまいました。
「このままでは、夜叉が採れなくなってしまう」と危機感を感じた私は、夜叉を育ててみようと思いました。
木の育て方を知らないまま、去年、枝を切って来て、水に差してみました。
・・・・枯れました。
今年3月頃、採ってきた夜叉玉から取っておいた種を母に頼んで、植木鉢に蒔いて貰いました。
何時になっても芽が出てきません。
「やっぱり無理」かと思ってた4月の中頃、植木鉢を見ると、、、、
それはそれは小さな双葉が芽を出していました。
「やっと芽が出た~~」と喜んだのも束の間、数日すると芽が消えて無くなってしまいます。
「なんで~」と考えても分かりません。
水もやってるし、肥料だってやってる。
母に聞いても分かりません。
芽が出ては、消えてしまうことの繰り返しです。
今日も幾つか双葉が出て来ましたが、
双葉が育ってくれないと植え替えして大きくすることも出来ないので、
植木鉢とにらめっこしては、ガッカリしている今日此の頃です。


- 2016/06/09(木) 18:51:27|
- 紫苑(伊勢)
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森謙次 根付彫刻展〜少年ヨ神話になれヨッ!〜
2016年の森謙次さんの個展も、本日無事に終了を致しました。
本人も初日と2日目は、上京して会場に在廊しいろいろな方々とお話しもさせていただきました。
反省も発見も学びもあり、刺激を受けて高知へと帰って行きました。
さまざまなかたちで応援してくださる皆様に、作家も私どもスタッフ共々、心より深く御礼申し上げます。
今後も、また励んで楽しい作品を発表して、活動していけるように精進してまいります。
今後共、何卒宜しく御願いを申し上げる次第でございます。
Gallery花影抄 橋本達士
- 2016/06/05(日) 21:31:01|
- 森謙次(高知)
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