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根津の根付屋 & Gallery 花影抄 blog

東京・根津にある主に現代根付、立体作品をご紹介しています、Gallery花影抄のblogです。
展覧会や取扱作家情報などを発信しています。

日本橋三越本店呉服売り場に出張展示いたします

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日本橋三越本店に出張展示いたします。

2014.4.1(火)〜8(火)まで、日本橋三越本店4階呉服売り場、
「三越伊勢丹・ジャパンセンスィズ」〜きものクリエーターの集い〜のコーナーにて、
根付を出張展示を致します。
日本橋へお越しの際には、是非、会場へお立ち寄り下さいませ。


出品作家/藤井安剛、泉水、茂虎、壽堂、道甫、永島信也、中梶真武、昌寛、万征、森謙次、吉見普光、れんげ堂

※初日は、永島信也と中梶真武が、会場にて御客様とお話させていただきました。

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4/5(土)は、永島さんが午後から夕方にかけて会場にいる予定です。

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4/6(日)は、中梶さんが午後から夕方にかけて会場にいる予定です。
  1. 2014/03/31(月) 18:56:24|
  2. アートフェア他(根津以外での展示活動)

作家便り 「14年3月/かわさきみなみ(千葉)

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こんにちは。かわさきみなみです。

3月のまだ寒い日の夜、窓を開けたら雨が降っていました。
雨が降っていることに気がついていなかったので「あれっ」と少し驚きましたが
それよりもはっとしたのは窓を開けた瞬間に感じた雨のにおいでした。
雨のにおいが、少し暖かく感じたのです。
それまでの寒い日に降る冷たい雨と、どこか空気が違うような感じがしました。
空気が違うと感じた瞬間 「もう季節は変わってきているんだ」と思ったら
うれしいような、わくわくとした気持ちになりました。

季節の変わり目はいつもこんな気持ちになります。
春になるときに限ったことでなく、どの季節でも思います。
空気の変化を感じられた瞬間はうれしくて、
特別なことを見つけたような感覚になるのです。

桜も咲き始めて、これからもっと春らしくなっていきますね。
それから夏がきて…また空気がどんどん変わっていくのを想像すると、
今年の春夏秋冬、それぞれの季節にまた出会うのが楽しみになります。
  1. 2014/03/30(日) 22:50:31|
  2. かわさきみなみ(千葉)

作家便り「14年3月 /森謙次(高知)」

今年は高知が桜の開花が一番になりました。
街に出ると桜の木の下で花見をしている人をちらほら見かけるようになりました。
そんな気候の良くなってきた3月に嫁と一緒に、
広島の呉市立美術館で行われている「根付と宮中装束展」へ行ってまいりました。

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結婚する前もした後も、嫁が大規模な根付展を観るのはこれが初めてでしたので、
根付の世界を知ってもらうのに良い機会になりました。

古典の根付から現代の根付まで多くの作品が並ぶ中で、
僕が彫刻を始めるきっかけとなった奈良一刀彫りの森川杜園の根付の所では、
嫁に特に奈良一刀彫りの歴史等を熱く語ってしまいました。

そして1階の展示スペースを観て、2階に行くと僕の作品も展示してくれてました(^−^)
嫁には「もっと頑張らないと!」と言われながら、
冷や汗をかきながらの鑑賞となりました。

そして出口に近付いたところで、僕が根付の世界に入ったころに制作した
”鬼の目に涙”がありました。

僕が、高円宮殿下の根付展を観たのは約10年前に三重県のパラミタミュージアムでしたが、
その時にまさか自分の作品がこうして展示されるとは夢にも思いませんでした。
「人生には上り坂、下り坂、そして まさか!がある」と野村監督(楽天名誉監督)が
言ってましたが、まさにその通りだなと感じました。

そんなこんなで、今月の根付川柳

巣を立って 旅をしていく 根付たち

もうすぐ4月です。色々と変わる時期になりますが、頑張っていきます!
  1. 2014/03/28(金) 18:34:15|
  2. 森謙次(高知)

作家便り「14年3月 /紫苑(伊勢)」

だいぶ春めいて、桜もちらほら咲き始めたみたいですが、まだまだ寒いですねぇ…

3月に入ってから少しづつ田植えの準備のために慌ただしくなって来ました。
他の用事と重なったりで、なかなか自分の観たい作品展に観に行けない状態ですけど、
4月に入ってからは、本職の時間さえ、ままならなくなって来るので、3月中に観に行ける
作品展はなるべく観たいと思ってます。

先日(15日)も、観に行きたいと思いながら、なかなか行けなかった作品展を愛知県の
尾張旭市まで観に行って来ました。

2月16日~3月16日迄だったので、終日1日前のギリギリでしたけど…(^_^;)

以前、伊勢現代美術館で個展を開いたガラス作家・平子恭子さんのスカイワードあさひ・4Fギャラリー
あさひでの2人展、「平子恭子・安田奈央 硝子と白磁土の変態~素材と表現の可能性~」です。

平子さんのガラス作品を伊勢現代美術館で観て、気に入ってる作家の一人で、グラスとか購入
したりしてるので、是非観てみたいと思ってたのですよ。
会場は行った時間の為もあるのか(昼の食事時)、静かでしたが、その分ジックリ観る事が出来ました。

安田奈央さんの白磁の器の欠片を吊り重ねて、そこに白磁の器で音楽を奏でてる映像を映す
インスタレーションも良かったのですが、僕が気に入ったのは、彼女の陶板画(磁板画?)です。
特に「海を越えてゆく旅人の為に」「北の空に光る」の色彩に因る一種の光々しさを感じます。
(陶板画全体にも感じた事ですが…)「欲しい~」って思いました。

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(会場がちょっと暗めなので、暗くなってしまいました。)

平子恭子さんの作品は、いい意味で自由奔放です。一作一作がイメージが変わって楽しませてくれました。
インパクトの有る作品も多いので面白いです。中でも「Thinkingthinking」

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「Inside」は人間の精神的な部分と生命の根源を考えさせる作品で良かったです。
「Timecapsule」の題名の下にあった小説「AMERI」よりの一文は身につまされました。
「あ~、ほんと。50ってそんな感じ…」とちょっとブルー入りました。(笑)

歩いてると汗ばむ陽気の中、初めて行った尾張旭をぷらぷらと歩きながら、心地いい一日だったと思います。
アートは、やっぱり心の栄養だと思います。
たまには、栄養補給は必要ですよね。

次は、3月27日~30日の三重県津市にある総文で開催されるAPI展を観に行くつもりです。
(知り合いの作家さんが多く参加してるので。)
  1. 2014/03/25(火) 20:40:02|
  2. 紫苑(伊勢)

飛騨高山文化芸術祭

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お久しぶりでございます。飛騨の野垣内でございます。
高山市では、今年度を「飛騨高山文化芸術祭こだま〜れ2013 テーマ:木」として1年間いろんなイベントを催してきました。その最終章として、3月15日から30日まで飛騨高山まちの博物館にて「手のひらの美 飛騨の根付展」が開催されています。(入場無料)
一位一刀彫のルーツは根付でありますが、そのことはあまり知られていません。
この展示会を通じ、皆さんの目に触れて欲しいと思います。
展示物は亮長作品が多く、代表作の蛙は何度見てもいいものですね。
一刀彫の根付は少なく、斬新さが際立、あくび達磨は7点もあり人気があったことをうかがわせます。
面根付や印章などもあり、はじめて知る亮長作品でした。
その他にトンコツや置物なども展示してあります。
展示方法はイマイチですが高山にお越しの際は是非ご覧ください。
よろしくお願い致します。

野垣内 秀也
  1. 2014/03/24(月) 17:26:12|
  2. 野垣内秀也(飛騨)

齋藤美洲 化石海象牙根付彫刻展 出品作品紹介

齋藤美洲 根付彫刻展
〜この難解で蠱惑的な化石・海象牙〜
2014/3/15(土)~3月23日(日)
3月20日(木)休廊

出品作品紹介

「海友」化石海象牙、べっ甲 7.5×4.0×1.0cm
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「いさな」化石海象牙、べっ甲 5.5×3.2×2.1cm
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「悠遊」化石海象牙、べっ甲 6.0 × 2.8 × 1.5cm 
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「家ヲ守ル」化石海象牙、べっ甲 6.2×3.0×1.5cm
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「蛙のかわずがけ」化石海象牙、べっ甲 6.0×2.7×1.8cm
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「梟一鳴」化石海象牙、べっ甲 4.0×3.8×3.0cm 
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「陽だまり」化石海象牙、べっ甲 5.5×2.8×1.7cm
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「草原の憩い」(インパラ) 化石海象牙、べっ甲 5.0×3.0×2.0cm
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「奥山に・・」化石海象牙、べっ甲 4.0×3.8×2.5cm
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「夫婦」(虎・豹) 6.0×2.2×2.0cm 、5.5×2.7×2.5cm
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「旋風」(鎌鼬) 化石海象牙、サイチョウ嘴 6.0 × 4.2 × 1.1cm
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「蛟」化石海象牙、べっ甲 6.6×3.0×1.3cm
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「時雨」化石海象牙 4.7×4.3×2.0cm
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「はんざき」化石海象牙、べっ甲 6.0 × 2.9 × 2.0cm 
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「鷹」化石海象牙 6.4×3.0×2.8cm
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※作品へのお問い合わせは、以下へお願い申し上げます。
メールアドレス netsukeya@hanakagesho.com
電話/FAX 03−3827−1323 まで。
  1. 2014/03/20(木) 19:07:29|
  2. 齋藤美洲(埼玉)

作家便り「14年3月/森栄二(葉山)」


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雪と大気

2月の大雪は大変なことでしたね。ドキドキしました。雪が降ってこんなに心細く、なにか押し潰されそうな(本当に屋根が潰れてしまいそうな)気持ちになったのははじめてでした。

この冬になってからか、犬の散歩なんかで歩いていると、ふと感じられるイメージがあります。

それは空気を感じる、というようなものなのですが、歩く時の抵抗がわずかに増えているように思えるのです。

船が水を掻き分けて進むとき水は舳先から左右に分かれて波が出来ていきますね。
自分がその舳先になって空気をぐわーっと掻き分けて進んでいるような。
家を出る時もドアを開けるのがぐっと重い感じ。
少しの風があるときなど、鼻から息をするのがなんだか重く、億劫で、まるで水の中を歩いているような気になることさえあります。当然のことながら先日の雪の日など息苦しくて、目もあけていられない。
でも、これはやはりただ寒さが辛いのでしょうね。
環境の変化や、体の変化(加齢?)も影響しているのかもしれません。
とは言っても、もたらされたこの空気の感触の変化によって僕自身は不思議な新鮮さを感じています。
それは、「大気」という水よりほんの少し軽いだけの、かなり液体に近い霧のようなものが、地球の表面に薄べったく淀どんでいて、僕はその底でやっとの勢いで息をしている、というちょっと苦しい感じのイメージではあるのですが。

でも少し暖かくなってきたかな?   2014.3月 森栄二

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これはチャイだるま。
うちの犬の形をした雪だるまです。雪かきが大変でこんな小さなものしか作れませんでした。
妻が作りました。

もうすぐ始まるグループ展です。

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「おもしろ木かたち」
2014/3/26〜4/1
横浜高島屋7階美術画廊
  1. 2014/03/18(火) 19:51:18|
  2. 森栄二(葉山)

本日より齋藤美洲展始まりました。

この度、Gallery花影抄では齋藤美洲展を23日(日)まで開催いたします。

代々象牙彫刻の家に生まれた齋藤美洲。象牙を扱うことに制約が強まってくる時代の流れの中で、
誰よりも果敢に多くの素材に挑戦してきました。そしてこの度、セイウチ牙の化石を素材とする
根付に取り組みました。

25年ほど前海外の根付作家が試みていた、セイウチ牙の化石をプレゼントされたのが、
素材との出会いだったそうです。セイウチ牙自体は、古根付でも時折見ることができますが、
「化石」となると極めて珍しい素材です。長い年月土壌に埋まっていたことで、茶褐色に
変化した深い色合い。石化したガラス質の煌めき。千差万別の素材の個体差による偶然性と
オリジナリティは、たちまち作家を魅了しました。

とはいえ、北方の国からの入手が困難な状況で、長年安定した取り組みは出来ずにいました。
インターネット環境の充実と、言語の壁なく海外とやり取りできる知人の助力によって、
一定量の材料を 入手することができるようになり、ようやく一年の月日をかけて向き合った成果が、
今回の作品群です。

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「奥山に…」


根付の黎明たる江戸以来、彫師たちによって様々な素材が試みられてきましたが、とりわけ近年になって
新たな素材が続々と増えたのは、1989年 のワシントン条約による象牙の輸出入禁止措置による影響が  
大きいといえます。当時は世界中の根付愛好家はもちろん、象牙を最重要な素材としてきた根付師たちも 
危機に瀕したのですが、そこに制約を楽しみに変えてしまう根付の本領が発揮されたのです。マンモス牙、   
タグアナッツ、マホガニー、河馬の歯、琥珀、そしてセイウチ牙の化石。根付はかつて持ち得なかった    
新たな素材を獲得することになったのです。
 
根付彫刻には、彫刻技術、デザイン性、そして素材感の三つの見どころがあります。また、デザイン性は
元々の素材の形の制約を含んでいるとも言えます。この度の展覧会では、まさに上記の三要素を凝縮した
世界が遺憾なく展開されています。石化した牙の硬度に負けない彫刻技術、そして出土した化石の不規則な
形や色模様からデザインする柔軟性、さらに特別な素材感を活かし美しく仕上げる力、どれをとっても
難易度の高い仕事であることは間違いありません。

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「家ヲ守ル」

しかし作家は、その困難な仕事の中にこそ、自身の能力を最大限に発揮できる、楽しい遊びが潜んでいることを
見出しました。長年様々な素材を相手に格闘してきた、作家ならではの経験と技術によって裏付けられた根付展
となっています。根津までどうぞ足をお運び頂きますようご案内申し上げます。


齋藤美洲 根付彫刻展
〜この難解で蠱惑的な化石・海象牙〜

2014/3/15(土)~3月23日(日)
3月20日(木)休廊 13:00~19:00
  1. 2014/03/15(土) 14:37:05|
  2. 齋藤美洲(埼玉)

呉市立美術館「根付と宮中装束」展に行ってまいりました

呉市立美術館で開催中の展覧会「高円宮家所蔵・根付と宮中装束」
2014年3月1日(土)〜3月30日(日)

呉市立美術館-webサイト
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展示会場は、1階と2階にわかれており、
まず1階では、古典根付と現代根付の主だったものの展示があり、
そのあと、宮中儀式のご装束や、両殿下のご愛用品の紹介もありました。
また高円宮殿下を偲ぶビデオ映像のコーナーも設けられており、
その中で、現代根付作家の高木喜峰さんが語る場面があり、
現代根付の歴史の一場面を見る思いでした。

2階へ上がると、引き続きたくさんの根付が展示されており、
最後は、妃殿下の「旅する根付の写真と実際の根付」が並んでおりました。
展示された根付の総数は、およそ500点とのこと。
数時間をかけて全力で拝見してまいりました。

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美術館前

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図録も発行されております。(一部2,000円)
通販も可能とのことですので、ご興味のおありの方は、美術館へ是非お問い合わせください。

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この図録で、私たちスタッフが何より驚き嬉しかったのは
「狛さんのブルドッグの根付」が、
コーナー扉に起用されていたことでした!

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広島出身の根付作家・道甫さんとご一緒しました。

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3/16は、講演会があるそうです。
「古美術における根付の魅力」古美術愛好家・赤羽克彦氏
  1. 2014/03/12(水) 18:50:57|
  2. 美術館・展覧会情報など

初めまして 道甫(どうほ)と申します。

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根付「女郎蜘蛛」銘/道甫 鹿角・水牛角

ドーモ、初めまして 道甫(どうほ)と申します。

大阪芸術大学で、金属工芸を学んでいました。
大学在籍時に高円宮妃殿下の根付についての講演会と、
ニコニコ動画での永島さんの動画を見て、
花影抄さんのホームページにたどり着き、根付を意識しました。

実際に制作してみると、金属ではない素材の魅力に惹かれ、のめり込んでいきました。
Twitterで「俺根付作ってるんじゃー」みたいなことを書き込んでいたら、
花影抄さんに実際に見せることになり、拾われ今に至る感じです。

根付には知られざるルールが沢山あります。
例えば、色使い、大きさ、モチーフ、暗喩などなど。
そのルールは当時の価値観、風土感から生み出されたものです。
昔のルールを知り、尚且つ現代の風土感が生み出す根付の造形やモチーフ、ルールを探ることが現代の根付師が目指すものと考えています。
知らなければならないこと、やらなければならないことが沢山あります。
色々精進いたしますので、どうぞ宜しくお願い申し上げます。

※「根津の根付屋」道甫の根付作品紹介は、こちら!
  1. 2014/03/08(土) 21:40:37|
  2. 道甫(千葉)

作家便り「14年3月/齋藤美洲(埼玉) 」

人生、戸の隙間を白馬が駆け抜ける如しと聞くが、人の最終段階における過去の話である。
季節の移ろいは循環するから再生をも意味するが、これまた、早く感じるものだ。
遠くに見えた、冬の白馬が目前を走り過ぎたと思う感慨の間も無く、遠くに春の駿馬の足音。
早や三月、弥生。早朝散策の折に、梅香と共に、春の息吹の土の匂いを楽しむ。

根付に付いて語り合うのに、もっと幅広い観点から角度を変えて見よう。とは以前書いた。

その一例として塚本博先生のブログを見て欲しい。

※一個人blog イタリア・アートの迷宮を旅する
 http://www.ikkojin.net/blog/blog50/19.html

内容は、イタリア、ルネッサンスのトンドと呼ばれる円形画の解説をし、リッピとラファエロ
の作品を紹介し、次にミケランジェロの円形彫刻を上げて、いかに円形という制約の中に自由さ
自然さを表現しているかを、興味深く解説している。

制約の中の自由に付いての作品解説は、遥か遠く、日本の根付に及ぶ。一匹三猿の根付を例に
している。拙作であるが、これは本歌取り故に、古典根付の一代表例として見て欲しい。
正直の丸鼠、光廣の甲申猿人形と基本形は同じである。根付とはの問い掛けに、角度を変えた
また、今までにない新しい根付解説だ。
根付は使えなければ根付ではない。その為には、使用可能な抽象形を基盤にして、具象を
彫り込む事が、どんな細い彫りでも、根付たらしめると私は思う。

去年の今頃、忙しく仕事場に居た。去年開催した個展での作品は、手持ちものが多く、その為ではない。
根付彫刻歴五十年という個展が終わった後の虚脱感で、創作意欲の退化を恐れたからである。

そのため、一年分の荒彫りを昨年春までに作り、その後に備えた。
安心して個展に臨めたが、何故か心の隙間に風が吹いた。私の長年の根付彫刻の「Identity」は
「Make something new」 である事に気付いたからだ。次に作るべき、アイディアが欲しかった。

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素材:セイウチ牙化石


そんな時、再会したのが海象化石である。創作意欲が湧き上がり丸一年、「化石さん」と遊ぶ事になった。
根付の素材としては、面白いもので、作りたい人には挑戦してもらいたい。

参考までに…この素材はアラスカの氷土の中で万年単位で、地中の成分と皮目の部分が
経年変化して、独特の色彩が生まれた。

以前に私も数個根付にし、後を望んだが、25年も待たなければ成らなかった。
この素材は化石化している故、非常に硬く、リューターのバーが切れなくなる時間が早いこと。
小刀も同様で、次に象牙に使うと、ツルツルとして切れず、研きには、時間の掛かる事。
研き作業も象牙の倍は要する。そんな訳で私、只今、親指が腱鞘炎中。

どなたか良い温泉でも教えて欲しい。

内部の泡状の部位は、光の反射が強く深く彫らねば立体感が出せない。故に象牙のティディールを
見せる彫りをしても、効果を発揮出来ない。

何よりも重要なのは意匠である。根付の大きさにカットした時、その形の中に、どんな写実を
根付師が描けるのか勝負になる。故に今回の展覧会にしても、私はそれが出来たのかは不安である。

3月15日より23日までGallery花影抄で展示しています故、ご意見くだされば幸せです。

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齋藤美洲 根付彫刻展
〜この難解で蠱惑的な化石・海象牙〜
2014/3/15(土)~3月23日(日)
3月20日(木)休廊 13:00~19:00


  1. 2014/03/05(水) 19:07:12|
  2. 齋藤美洲(埼玉)

「月刊美術」2014/3月号

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「月刊美術」-webサイト

発売中の雑誌「月刊美術」2014/3月号、特集は「アートと暮らそう」です。

華やかな美術コレクターの方々に混じって、根付コレクターの紹介頁もあります。

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「使う根付コレクション!」ユニークな誂え物の根付を中心にしたコレクションです。
掲載の根付写真には、齋藤美洲、小野里三昧、和地一風など

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特別掲載として、齋藤美洲の化石セイウチ牙を材料とした根付彫刻の紹介頁もあります。
展覧会開催前の特別紹介企画です。

  1. 2014/03/02(日) 21:14:50|
  2. 齋藤美洲(埼玉)