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根津の根付屋 & Gallery 花影抄 blog

東京・根津にある主に現代根付、立体作品をご紹介しています、Gallery花影抄のblogです。
展覧会や取扱作家情報などを発信しています。

作家便り「13年9月/かぶ(東京)」

「銀座おとな塾」という所で
『清水三年坂美術館コレクションを味わう 帯留めなどアクセサリー』
というレクチャーを受けてきました。

清水三年坂美術館の館長さんが講師をされて幕末・明治の貴重な作品を見せていただきました。

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まず、ブレスレットです。
見づらい写真で申し訳ないのですが、細かな象嵌がわかりますでしょうか?
なんとも手間がかかる作業!

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こちらはかわいい柏餅と鶉のカフス。

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懐中時計の装飾。根付でも定番の木賊に兎と、とても繊細な表現の鹿。

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珊瑚の帯留めです。
白珊瑚の帯留めの菊のちょうど真ん中に、うっすらとピンク色が入っています。
赤い方は鳳凰。

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金工の帯留めです。緋銅の作品はアンティークでは良く見ます。
と思ったら、現在展示中の「金属工芸の作家による根付の展覧会」にて、
罠兎さんが猫の首輪に緋銅を使っていらっしゃいました。

レクチャーは一時間半でしたが、それでは物足りないくらいで
みなさん、名残惜しそうに作品を見ていらっしゃいました。
今回は金工作品を多く見させて頂いたのですが、触れて間近で見て分かる
金工表現のすばらしさを堪能したひとときでした。


※そんなアンティークの金工に感動したかぶさんのコーナーはこちら
  1. 2013/09/30(月) 12:00:00|
  2. かぶ(東京)

「金属工芸作家による根付展2013」終了致しました

「金属工芸作家による根付展2013」は、会期を終了致しました。
昨年に引き続いての企画でしたが、昨年以上に出品作家それぞれの工夫や技や発想を、沢山の方々にお楽しみ頂けたように思います。御来場下さいました皆様やインターネット上で応援してくださいました皆様に、作家共々感謝をし、篤く御礼申し上げます。
金属の根付には、彫刻とは違った楽しみや可能性が広がっていると思います。今後も、作家に皆さんに励んで頂き、その楽しさ、魅力を広げていきたいところです。
今後とも、何卒宜しくお願い申し上げます。
有難うございました。

Gallery 花影抄/根津の根付屋
  1. 2013/09/30(月) 11:26:55|
  2. 展覧会

「金属工芸作家による根付展」出品根付の御紹介/上原万征

「金属工芸作家による根付展」出品根付の御紹介/上原万征

上原万征「井の中の蛙 大海を・・・」
素材/象牙、真鍮、赤銅、18金
サイズ/5.6×3.2×2.6cm

作品解説
井の中の蛙が、大海へ泳ぎ出す図。
象牙の台座部分に変形の世界地図が彫刻されています。
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上原万征「柿(たくらみ)」
素材/黄楊、銅、赤銅、18金
サイズ/4.5×4.4×3.5cm

作品解説
猿蟹合戦の一場面、猿が柿の種を抜き出そうとしているところ。
小猿の緒締が2つ付いてます。猿の顔は、銅と赤銅の金属象嵌です。
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上原万征「登蛙 其ノ七」
素材/赤銅(蛙本体)、四分一(模様)、18金(目)、925銀(虫)、縞黒檀
サイズ/4.8×2.7×2.9cm

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上原万征「登蛙 其ノ八」
素材/925銀(蛙本体)、四分一(模様)、18金(目)、赤銅(虫)、パープルハート(木)
サイズ/4.3×2.6×3.0cm

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※作品へのお問合せは、netsukeya@hanakagesho.com まで。
  1. 2013/09/27(金) 21:49:20|
  2. 万征(東京)

「金属工芸作家による根付展」出品根付の御紹介/吉見普光

「金属工芸作家による根付展」出品根付の御紹介/吉見普光

吉見普光「構に溜まる(1)」
素材/銀、真鍮、鹿角、黒檀、べっ甲、水牛角、象牙
サイズ/4.7×4.3×1.8cm
(巣の細部をさらに手加工で抜いて真に迫ろうとしています)

作品解説
「雀の巣も構うに溜まる(すずめのすもくうにたまる)」という諺があります。
雀が、少しずつ草や小枝を運び続けて巣を作り上げるように、
小さなものでも積もり積もれば多くなることの例えです。

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吉見普光「構に溜まる(2)」
素材/銀、ブロンズ、黒檀、べっ甲、水牛角、象牙
サイズ/4.7×4.3×1.8cm
(上の作品に対して、卵が無く、巣の部分の鋳造後の手加工の抜きが少ないです)
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吉見普光「柳左根付 流水(1)」
素材/銀(燻し仕上げ)、真鍮
サイズ/径3.7×2.0cm
(内側に真鍮の小さな亀や魚が泳いでいます)
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吉見普光「柳左根付 流水(2)」
素材/銀(内部青金渡金)
サイズ/径3.7×2.0cm
(内側に銀の小さな亀や魚が泳いでいます)
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吉見普光「柳左根付 流水(3)」
素材/銀(白仕上げ)、ブロンズ
サイズ/径3.7×2.0cm
(内側にブロンズの小さな亀や魚が泳いでいます)
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※作品へのお問合せは、netsukeya@hanakagesho.com まで。
  1. 2013/09/27(金) 21:15:03|
  2. 吉見普光(東京)

「金属工芸作家による根付展」出品根付の御紹介/罠兎

「金属工芸作家による根付展2013」罠兎・出品根付の御紹介

罠兎「猫の災難」白黒ブチ

素材/925銀、赤銅、真鍮、銅(緋銅)、四分一、ペリドット、漆、ネオジウム磁石
サイズ/4.2×3.0×2.5cm

作品解説
首輪の鈴を押すと耳かぴこぴこと動きます。蓋を開けると鯛の骨。
落語の噺「猫の災難」を題材にしていますが、噺の中に猫自体は姿を見せません。
長屋の隣に住むおっさんに濡れ衣を着せられてちょっと不機嫌な猫の姿を想像してみました。
「猫、猫うるさいな!!」と耳をぴこぴこさせてちょっとイライラ。
白黒ブチと三毛の二匹でお待ちしております。(罠兎)

作家ブログに動画がアップされておりますので、御覧下さい。

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罠兎「猫の災難」三毛

素材/925銀、赤銅、真鍮、銅(首輪の緋銅と胴体の茶色)、四分一、ペリドット、漆、ネオジウム磁石
サイズ/4.2×3.0×2.5cm

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※作品へのお問合せは、netsukeya@hanakagesho.com まで。
  1. 2013/09/27(金) 14:34:56|
  2. 罠兎(東京)

「金属工芸作家による根付展」出品根付の御紹介/壽堂

「金属工芸作家による根付展2013」壽堂・出品根付の御紹介

壽堂「英國王兜」素材/銀、真鍮 サイズ/5.2×3.0×2.4cm
 製造番号1 

作品解説
実物は英国の王立武器庫 (Royal Armouries)にあります。
神聖ローマ皇帝マクシミリアン1世から英国のヘンリー8世に贈られたものだそうです。
奇抜な兜は数ありますがこれは群を抜いてると思います。無精髭が生えてたりします…
実物同様マスク部分がパカッと開くようになっています。(壽堂)

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壽堂「鐵腕」 素材/銀、真鍮 サイズ/4.8(指を伸ばした時 5.8)×径1.7cm


作品解説
ドイツの騎士、ゲッツ・フォン・ベルリヒンゲン (Götz von Berlichingen) の義手をモチーフにしています。
指と手首が可動になっております。
近年翻訳出版されたゲッツ自身の回想録「鉄腕ゲッツ行状記」読みましたが、非常に読みやすい好著でお薦めです。義手の図版も大きく載っており内部の仕組みもわかり興味をそそられます。
ゲーテの名を一躍高めることになった、この回想録を題材にした戯曲「鉄の手のゲッツ・フォン・ベルリヒンゲン」によりゲッツも広く知られるようになったようです。
森鴎外の翻訳で日本でも紹介されており、昭和初期の文庫版で表記は「ギョッツ」になっています。(壽堂)

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ゲッツ・フォン・ベルリヒンゲン著/藤川 芳朗 訳
「鉄腕ゲッツ行状記 ある盗賊騎士の回想録」
白水社

※作品へのお問合せは、netsukeya@hanakagesho.com まで。
  1. 2013/09/27(金) 14:19:06|
  2. 壽堂(東京)

金属工芸作家による根付展 2013

Gallery花影抄 展覧会情報

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金属工芸作家による根付展
Netsuke by metal craft artists 2013

Gallery花影抄-webサイト内 展覧会情報
2013年9月21日(土)~29日(日)
休廊 9/26(木)
13:00~19:00(最終日は18:00まで)

出品作家の在廊予定日
上原万征:21(土)、25(水)、29(日)
壽堂:  21(土)、22(日)、25(水)、28(土)、29(日)
吉見普光:可能なかぎり毎日
罠兎:  21(土)、22(日)、25(水)、28(土)、29(日)

皆様の御来場を作家共々、お待ち致しております。
何卒宜しくお願い申し上げます。
  1. 2013/09/20(金) 19:48:37|
  2. 展覧会

作家便り 「13年9月/かわさきみなみ(千葉) 」

こんにちは。かわさきみなみです。

今年の夏は、各地で最高気温の記録を更新するような本当に暑い夏でしたね。
私は8月の最後の週、『入間市文化創造アトリエ アミーゴ』で個展をさせて
頂きました。アミーゴの裏には公園があって、そこの小さな噴水で子供達が
楽しそうに水遊びをする姿をよく見かけました。

展示期間の一週間は、あっという間でしたが夏休み中ということもあって、
地域の方をはじめたくさんの方々に展示を見て頂くことができました。
中には展示を一度見て、また別の日に家族や友達と一緒に見に来てくだ
さった方もいて、作品に興味を持って頂けたと思うととても嬉しかったです。

展示をさせて頂いた場所は、大きな窓があり、外の光が入る温かい雰囲気の部屋でした。

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窓の前に作り付けの段があるなど今まで展示したことの無い空間でした。
この場所を活かした見せ方をしようと、色々考えるのはとても楽しい作業でしたが、
実際にその空間をうまく使って展示をすることは難しくもありました。
今回の展示は、経験の浅い私にとって空間の使い方について考えるとても良い機会になりました。


まだまだ暑い日もありますが、季節は少しずつ秋に変わっています。
私は今、10月末のアートフェアに向けて新しい作品を作り始めています。
今度はどんな子犬が出てくるか、どうぞお楽しみに…!


※そんな かわさきみなみ の作品はこちらでご覧になれます!

  1. 2013/09/14(土) 19:00:00|
  2. かわさきみなみ(千葉)

作家在廊企画: 9/14(土)永島信也

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作家在廊企画: 9/14(土)、永島信也が島根でのグループ展で発表した新作木彫作品をギャラリー花影抄にて展示し、1日在廊します。
今回は、週末の一日かぎりの在廊ですが、作家共々お待ちしております。
宜しくお願い申し上げます。
  1. 2013/09/11(水) 20:54:21|
  2. 永島信也(神奈川)

藤沼哲展 2013/9/12~17 (gallery坂 )

木彫家・藤沼哲の言葉

私は、自然に非常に高い関心があります。
幼少の頃から自然の中で遊び自然に親しんできました。
虫取り、釣り、野山をかけずり回り泥だらけになっていました。
捕まえてきた虫や魚は、可能な限り飼育していました。

読書は、文学作品ではなく図鑑を観るのが好きでした。

自動車の運転ができるようになると行動範囲を広げ、釣り、キャンプを楽しみました。

大学では、環境科学を専攻し雨水の化学成分を分析して、大気中の汚染物質の動向を研究しました。
卒業後、セラミックスエンジニアとして企業で働きました。
私の作品には大学、エンジニア時代の「理科系」の経験が活かされていると思っています。

自然の中にいると「気分が良い」「美しい景色、動植物に感動する」等はもちろんですが、
「なんだ!これは?」「どうして?」と思う瞬間にとても心が動かされます。
それは未知の物を発見した喜びや、知的欲求を刺激された事だと思います。

これらの快感、なにか新しい物を求めて、
自然の中をきょろきょろしながらさまよっているのでしょう。

自然の中では、視覚・聴覚・嗅覚を総動員して、あらゆる気配に心を向けます、
すると「変わった物」を発見します。
「変わったもの」は美しい物とは限りません、しばしば醜い、気持ち悪い物であったりします。
それでも、私にとっては「なんだ!これは?」「どうして?」という感情を持たせる重要な物です。
私はこの「なんだ!これは?」「どうして?」を作品として表現したいと考えています。


自然はあるパターン、規則性を持っています。(構造、模様 etc )
しかしそれは定規できっちり測ったような物ではなく、ある曖昧さ、揺らぎを持っています。
私はその曖昧なところ、揺らぎに美しさを感じます。
しばしばクローズアップして観察します。
そこにとても面白い形、パターンを発見します。
こうした「記憶の断片」を再構築した物が私の作品です。
この事を私は、生体模倣(バイオミメティック)と表現しています。

創作工程に木工旋盤(ウッドターニング)を取り入れています。
木のかたまりを回転させながら削る行為です。
回転運動は、身の回りにあふれています。
天体(惑星の動き)、車輪、ギヤ、歯車etc.
回転運動は私にとって、自然そのもの、途切れなく続くものの象徴です。

私にとって回転運動は有機的な独特のフォームを生む重要なプロセスなのです。

私が作る物は自然の中に同じ物はありません、抽象作品です。
しかし「どこかにありそうな、いそうな」「どこかで見たかも」と言う
バイオミメティックな「写実感」を持たせたいと思っています。
作品を通して、私が自然の中で感じる喜び、驚き、
「なんだ!これは?」「どうして?」と同じような感覚を感じていただければと思っています。

展覧会では、作品を手に取ってあらゆる方向から観察して欲しいと思っています。
私が森の中でそうするように。


My Curiosity III  9/12より gallery 坂 でオープンです。

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藤沼哲展
My Curiosity III wood sculpture
2013年9月12日(木)~17日(火)
gallery坂-webサイト
  1. 2013/09/10(火) 18:55:12|
  2. 作家

作家便り「13年9月/齋藤美洲(埼玉) 」

処暑を過ぎたとはいえ、残暑未だなお酷。百日紅(さるすべり)の花の色あせて
彼岸花の深紅に、目を奪われる時を心待。

前回記述した、塚本博先生と、花影抄にて橋本氏、スタッフで8月6日に歓談する
機会を得ました。先生の造詣は、絵画は勿論、彫刻、美術史、全てに深く、その興味
は日本の根付にも及びます。先生との出会いは今年の私の個展の折、私の根付説明が
西洋近代彫刻論を基にしているのを聞いて、同意と声を掛けてくれてよりの事でした。

以下、メモをとらずの覚え書き…

良い彫刻とは、ミケランジェロが云う様に、坂に転がしても壊れないと思わせる
塊として安定感の有るものだと、良い根付はそれに通じるものが有る、との先生の言葉から始まった。

私の持論の、根付はキュビズム論的に考えると、より理解は深まる。
しかし一般の方にはなかなか解ってもらえない。例えば、外国人なら解るだろうと
話た所、根付は丸い形で、立方体(キューブ)ではないとの答え。

キュビズムを知らない人には話にならない、等々の私の話に、先生は西洋近代彫刻は、
キュビズムの様々な抽象的絵画が行き詰まり、実際に彫刻(造形)にてその抽象を実証
されるべく移行してきたと云う。私はその彫刻家の一人として、尊敬するブランクーシを
上げ、互いに作例を上げながら語り合った。

話は抽象と根付に移り、先生は抽象と具象が魔術的に混在しているのが根付であり、
マッス(大きな固まり)として考えると云う。つまり、根付は本来、帯に通して使われる
もので有るが故に、使用可能な美しい抽象形を初めに意識し、その中に具象表現をすると
云う事だろう。

先生は自らのコレクション根付(玉鼠)を持参し、御自身の根付に対する考え方
の例として説明され、聞く私達にも話が具現化されて、大きな参考になった。

心に残った、先生の言葉は、西洋美術論的に根付を学べば、この根付は良いと
感じた時、何故?その造形が良いのかを考え、それを理解し、理論付けられると云う。
人が自分を語るに、どの位、自分を理解しているのか?に似ている。

前回、不思議に思う事、二つを書いたが、根付界に不足しているのはこの事かと
思われる。

これよりは、私も、この論点から作品例を上げて、自分の思を文章化していきたいと
思う。五十年も前の美術手帖で近代絵画のモンドリアンを読む。ブランクーシ同様
物事を突き詰めた作家だ、と彼は言う。

事物の表面は喜びを与える。
事物の内面は生命を与える。

これからの私の座右に置くべき言だ。


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塚本先生の著書「すぐわかる 作家別 ルネサンスの美術」

  1. 2013/09/06(金) 14:13:41|
  2. 齋藤美洲(埼玉)