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根津の根付屋 & Gallery 花影抄 blog

東京・根津にある主に現代根付、立体作品をご紹介しています、Gallery花影抄のblogです。
展覧会や取扱作家情報などを発信しています。

作家便り 「2019年8月/中梶真武 (神奈川)」

お久しぶりです中梶です。
梅雨も明けて毎日暑いですが皆さんいかがお過ごしでしょうか。

ここ何回かはブログで工具の話をしていたのですが、
先月とても面白い展示を見てきたので
今回はそのお話をさせてもらおうと思います。

ロエベファンデーション クラフトプライズ2019の
ファイナリストの作品が青山の草月会館内、
イサム・ノグチの石庭「天国」に並べられていました。

「クラフト」の重要性を世に問い、それらを作るアーティスト達の
評価を目的としたコンテストということで、陶磁器や宝石、金工、
漆、木工など様々な素材、技法で作られた作品が
展示されていたのですが、どれもが素晴らしかったです!

確かな技術と時間をかけて作られた作品というのは見てわかるのですが、
それだけに寄りかかっていないというか、
それはそれとして作品自体が美しいものばかりでした。

展示会場も高低差のある空間で
様々な角度から作品を観ることができたのも良かったです。

展示作品には形の出し方であったり、仕事の過程がストイックで
自分の好みのものが多く、とても刺激を受けました。

根付となると細かな細工であったり、具象的な作品になりがちですが、
それだけでなく素材自体の面白さであったり、
全体の形の美しさなどを重視したものも
何か作りたいなと改めて考えています。

それが根付になるか、それ以外のものになるかわかりませんが、
用途があって手元に置いておきたくなるような
何かを作り出していければなと。

クラフトプライズ、この先日本での作品展示があるかはわかりませんが、
毎年開催されるようなので今後も観ていきたいです。

展示自体は終わってしまいましたが検索すると色々出てくると思うので
興味がある方は調べてみてください。

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作品紹介のパンフレットもなんだかおしゃれでした♪閉じ方とか。
  1. 2019/08/08(木) 14:38:44|
  2. 中梶真武(神奈川)

作家便り 「2019年6月/中梶真武 (神奈川)」

中梶です。

先月の事になりますが、念願の京都に行くことが出来ました。

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清宗根付館、三年坂美術館とずっと行きたかった所も
観ることが出来て満足でした。
写真では見ていた作品も、当たり前ですが実物は良いですね。
特に根付館では先輩方の数多くの作品を見て、
自分はどこを目指していきたいのか改めて考える良い切掛になりました。
京都、また行きたいです。


そして、道具の話。
前回ヤスリのことを書きましたが今回は予告通りリューターを。

僕が使っているのは基本的に2台で、
ひとつめは長田電気工業さんから出ているオサダサクセス。

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軸の精度が高く、低速での馬力もあり、
荒彫りから仕上げの細かな仕事まで全ての工程でメインで使っています。
使用時に静かなのも良いです。
根付を始める前からなのでかれこれ10年ほどハードに使っていますが、
時々メンテをしながら今もしっかり働いてくれています。
もちろん根付だけでなくジュエリーの仕上げでも活躍してくれています。


もう一つはフォアダムのリューター。

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モーター直付けパワータイプなのでゴリゴリ荒彫りする際や、
金属にドリルで穴あけの時などに使っています。
あとはハンドピースがドリルチャック式のため
取り付ける軸の太さを選ばないのも助かりますね。


僕が根付を作る際、どちらを使うにしても攻めすぎないように
気をつけています。
電動工具はどんどん形が出せるため、楽しくなって気づくと
リューターだけで形を決めてしまいがちになるのですが、
ヤスリや左刃は材を「切る」感覚なのに対し、リューターでの加工は
どうしても「ちぎる」ような感じになってしまう気がします。
特に木材を削る時などは切削面がもさもさしてしまうので
勢いに任せて進めず一歩、二歩手前でヤスリや左刃に持ち替えて
形を見直しながら完成に向けて攻めていくように意識しています。
とはいえ、リューターでゴリゴリ削って形を出している際、
その荒々しい切削痕と作品の塊感がとても魅力的に見えるとこがあり、
このままで仕上げてしまいたい!と思う事も多いのです。

根付は触り、使う前提のものなので磨きが行き届いていないと
そこから汚くなってしまいます。
そのため削りっぱなしで終わりにすることがなかなか難しいですが、
そういう質感や荒彫りにある良さを残して仕上げきるという作品も
今後作っていけたらと思います。

ここまで読んでいただきありがとうございました。
ヤスリ、リューターと来たので次回は左刃行こうと思います!
  1. 2019/06/17(月) 18:00:00|
  2. 中梶真武(神奈川)

中梶真武 掲載情報 「婦人画報」 2019年6月号

「婦人画報」 2019年6月号の連載「レンズを通して」にて、中梶真武さんの作品を御掲載いただきました。

旅する根付 穏やかないのしし。(写真:文 高円宮妃久子殿下)

真武さんの作品「ひととき」は、2012年の作品です。

銀を象嵌する技法などに取り組んでいた頃の作品で、スマートで優しい印象の猪です。

今回、真武さんにとっては「旅する根付」に作品を初めて取り上げていただくこととなりました。

やはり、懐かしい気持ちで作家共々掲載して頂いたことを喜びました。

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今号で一緒にご紹介いただいたのは、泉水さんの「招き亥 ウリンボ取れたよ」。

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「婦人画報」-(ハースト婦人画報社)- webサイトはこちら。
  1. 2019/05/08(水) 19:23:25|
  2. 中梶真武(神奈川)

作家便り 「2019年4月/中梶真武 (神奈川)」 

中梶真武です。
久しぶりの更新になってしまいました。

先日Twitterで制作途中の作品画像と共に道具の事を呟いたときに、
ふと、自分が仕事をする上で使っている道具の紹介をしつつ、
それを使ってる時に感じる心地よさだったり、手を動かしながら考えている事を書いてみるのはどうかな?
と思ったのでそれを何回か続けみようかと。

この道具でこんな事が出来ますよ!というよりは、
この道具使ってる時はアガる!だったり、気持ちを切り替えるときにこの道具を手に取るようにしているなど、
かなり個人的な事を書くつもりなので、作っている人やオススメ工具を知りたいと言うような方には
あまり参考にならないとは思いますが、
仕事をする上でこういう心持ちでやっているという事が道具の話を通して、
ちょこっと伝われば良いかなと考えています。



初回は「ヤスリ」

僕の場合はこれが無いと仕事にならないというくらい重要な道具です。

根付であれば荒彫りから仕上げ前の整形まで、形状、目の粗さなど、様々な種類を使い分けています。
ジュエリーの制作でも形を出していく基本はヤスリなので、磨きに入るまでに一番多く手に取る道具だと思います。

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↑ちょうど現在制作中の作品で使っているヤスリたち。根付を作る時は割と目が粗いものが多いです。



根付を彫る時、材を削り取っていくスピードでは電動工具のリューターに敵いませんが、
ヤスリは単純に使っていて気持ちが良いんですよね。

直接手に持ち自分の力で押して削るので、
道具と体の感覚のブレが少ないというか、使っていてしっかり目指す形に近づけているなと感じられます。

自分の作品では、全体の流れの美しさや、内側からの張り感を大切にしていて、
ヤスリを使った方がそれが上手く出るなという感覚がずっとあったのですが、
前に美洲先生と話しをしていた時に「ヤスリをかければかける程良い形になる」と言ってもらい、
この感じ間違ってなかった!とグッと心でガッツポーズをしたのを覚えています(笑)

リューターの方は、ガシガシ削れる分、油断すると求める良い形を通り過ぎてしまって
全体が痩せた印象になる事があり、少し神経使います。
(これは個人的な得手不得手の話で、リューター使いの作家さんも沢山いて、素晴らしい作品を作っていますので
どちらの道具を使っているから良い悪いと言いたい訳ではないので念のため。)


そうは言っても作業効率の関係でかなりの割合でリューターも使用していますが、
作業中に仕事が雑になってきてしまったり、気持ちだけが逸ってきてしまっているなと感じた時には
必ず一度ヤスリに持ち替えるようにしています。

昔気質にアナログだから良いんだ!と言いたいわけではなく、
ただ単に自分の求める形が出しやすく肌に合っているんだろうと思います。

こう書くと少し大げさな感じになってしまいますが、
削るときに伝わる感触や音なども心地良く、
物作りを始めた時の手を動かすだけで楽しかった感覚を再確認させてくれる、
背筋を伸ばしてくれるような、僕にとって大切な道具です。


初回、書き始めたら思ったよりも長くなってしまいました。次回はもう少し短くまとめます!

次はリューターの予定。なんやかんやいって凄くお世話になってます。
  1. 2019/04/05(金) 20:00:53|
  2. 中梶真武(神奈川)

作家便り 「2019年1月/中梶真武 (神奈川)」 

「はじめに」
作家の方々に作品についてあらためて、インタビューするという企画を始めてみます。
昨年の春から、私どものギャラリーにも新人スタッフが入ってきまして、
新人の新鮮な目で作品を見るということは、新しく根付というジャンルに接するファンの方々と同じであるかもしれないと思いました。
そのスタッフが、作家さんに素朴な質問や感想を伝えて話を聞き、学ぶという機会にもなれば良いと思っています。
おつきあいいただければ幸いに存じます。(花影抄・橋本)

初回は、中梶真武さんの登場です。


【中梶真武さんに、作品「伊吹山」について聞きました】

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[花影抄の年賀状にも使わせていただいた猪の根付について、ギャラリースタッフが聞きました。(2018年12月ギャラリーにて)]


スタッフ(橋) 年賀状に向けてお願いした猪についてお話を頂きたいと思います。お願いいたします。


真武 猪は、だいぶ前に一回作っていてまた作りたいと思っていました。


スタッフ(平) 作りたいイメージはありましたか?


真武 鹿角を使って白い神秘的な猪にしたいなと思いました。ポーズは古典だったり美洲先生の構図なども参考にして。材料を見て当てはめて。いろいろ調べたりしました。「もののけ姫」も観たり(笑)

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スタッフ(平) 神秘的な印象で目の色も特徴的です。


真武 石を瞳に象嵌するのが好きなのですが、すごく小さくてもただ強いベタ塗りの色にならず、トーンの違いや光の具合で見え方が違ったり、自然物なので狙って出来ない効果が生まれるのが良いと思っています。今回、緑にしたのは「伊吹山」という古事記の神様(山の神様)のイメージがあります。また森の景色が瞳に写っているとも言えます。瞳に山のすべてが宿っている、もっと言うと内面もそこに宿っているように思っています。


スタッフ(橋)この石、水っぽくもある。同じ緑色でも孔雀石なんかだとなにか真武さんにとっては強すぎるのかな。

スタッフ(平) 白い体毛にこの澄んだ感じの石の色がなんとも言えず神秘的で清らかです。


真武 ふつうに二重象嵌にすると表情の強さは出るのですけれど、もう少し見る側から感情移入できるような、見る側に寄れるようにしたいと思いながら作っています。


スタッフ(平) 口がすごいかわいらしいです。


真武  猪の口も、けっこうよく見ると複雑な形なんですよね。わかりやすくデフォルメはしました。
かわいらしいとか、また意志強いとか、幼い感じにも見えたり、角度によって印象が変わるようにしたいと思って作ってました。


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スタッフ(平) 石を使う狙いというか、瞳の中にいろいろなものを込めたいという気持ちがあるのですか?


真武 瞳って、外の世界の映るし、自分の内面も語る大事な部分。
前回制作のオサガメの根付では、オパールで瞳を作って、海の青さ、オパールは光の加減でグリーンになったり青になったりで、目が語るものになったらと思って使っていました。


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スタッフ(平) 根付作家さんでは、目の表現にいろいろ込めるというのは珍しいかと思いました。


真武 根付は、古典も現代も、題材で意味をつける、洒落になっていたり、、、という、それとは別のところでなにかできないか?という気持ちがあります。


スタッフ(平) 中梶さんはジュエリーの基盤、石(宝石、貴石)の知識があるので、強味があるなと思います。


真武 目に石の組み合わせの効果を確かめるために、いくつも削って嵌めてを繰り返してみたりする時もあります。



スタッフ(橋) この猪、牙が片方が折れているように彫ってますね。

真武 この猪が、ただ生きてきたのではない物語や歳月などを込めているもの、重ねているものにしたいというのがありました。左右対称でない構図になるようにも考えました。

スタッフ(平) この作品、かなり左右が違ってみえますね。左右それぞれの写真だけをもし見たら、2つ作品があるのか?と思ってしまいます。ギャラリーの2019年の年賀状では、左右両方の面が見ていただけるようにデザインしました。

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真武  毛の流れや彫りの深さもかなり変えています。優しく穏やかな静かな感じと牙も折れている激しい面を作りました。


スタッフ(橋)大きさも気をつかいました?

真武  サイズ感は気にしました、小さすぎず、大きすぎず。

スタッフ(橋) 干支ということで、今年はみなさんが猪を彫るので。

真武 古典も現代も、いろいろ調べました。定番の構図があると思うので。

スタッフ(橋) どちらかというと、齋藤流のフォルムですね。

真武 そうですね。昔、美洲さんと二人展をした時に作った水牛の根付のフォルムを思いだしたりしながら。美洲さんがご覧になったらなんて言うかわからないですけど(笑)


スタッフ(平) 猪の尻尾って、、、、、

真武 じつは尻尾は、実物より長くて大きくしてます。ホントの猪はプリッとちっちゃいです。何か長生きしてる普通の猪ではない感じにしたかったので。神様のような存在として彫りました。
いつも、動物を彫る時は、動物を作っているのだけれど、他の何かになるようにしたいと思ってます。

   

スタッフ(平) 皮の部分が良い感じにでてます。長く生きてきたという演出につながってます。

スタッフ(橋) 鹿角のス(角の髄の部分)も、本当にちょうど良いところに出てる。

真武 今回、素材が、けっこうギリギリ、ほぼ、この大きさと形だったので、だいぶ材料を見て考える時間が長かったです。
どうにか「ス」や皮目なんかも上手く活かそうとしていました。
石を使っていることでも共通するのですが、手じゃ絶対できない素材の天然の魅力があって、そこを何かしら上手く使いたいといつも思っています。



スタッフ(橋) シンプルな動物の根付も、魅力ありますよね。

真武 素材の魅力と、作り込んだ箇所と、そして作り手の手跡が残っているような作品ができれば良いですよね。挑戦していきたいです。

スタッフ(橋・平) いろいろお聞きできて、良い機会となりました。ありがとうございました。


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根津の根付屋/中梶真武作品アーカイブ2018「伊吹山」にて、作品の多角度写真など御覧いただけます。

「伊吹山」作品紹介ページはこちら!
  1. 2019/01/28(月) 13:19:01|
  2. 中梶真武(神奈川)
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