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根津の根付屋 & Gallery 花影抄 blog

東京・根津にある主に現代根付、立体作品をご紹介しています、Gallery花影抄のblogです。
展覧会や取扱作家情報などを発信しています。

作家便り 「2019年1月/中梶真武 (神奈川)」 

「はじめに」
作家の方々に作品についてあらためて、インタビューするという企画を始めてみます。
昨年の春から、私どものギャラリーにも新人スタッフが入ってきまして、
新人の新鮮な目で作品を見るということは、新しく根付というジャンルに接するファンの方々と同じであるかもしれないと思いました。
そのスタッフが、作家さんに素朴な質問や感想を伝えて話を聞き、学ぶという機会にもなれば良いと思っています。
おつきあいいただければ幸いに存じます。(花影抄・橋本)

初回は、中梶真武さんの登場です。


【中梶真武さんに、作品「伊吹山」について聞きました】

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[花影抄の年賀状にも使わせていただいた猪の根付について、ギャラリースタッフが聞きました。(2018年12月ギャラリーにて)]


スタッフ(橋) 年賀状に向けてお願いした猪についてお話を頂きたいと思います。お願いいたします。


真武 猪は、だいぶ前に一回作っていてまた作りたいと思っていました。


スタッフ(平) 作りたいイメージはありましたか?


真武 鹿角を使って白い神秘的な猪にしたいなと思いました。ポーズは古典だったり美洲先生の構図なども参考にして。材料を見て当てはめて。いろいろ調べたりしました。「もののけ姫」も観たり(笑)

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スタッフ(平) 神秘的な印象で目の色も特徴的です。


真武 石を瞳に象嵌するのが好きなのですが、すごく小さくてもただ強いベタ塗りの色にならず、トーンの違いや光の具合で見え方が違ったり、自然物なので狙って出来ない効果が生まれるのが良いと思っています。今回、緑にしたのは「伊吹山」という古事記の神様(山の神様)のイメージがあります。また森の景色が瞳に写っているとも言えます。瞳に山のすべてが宿っている、もっと言うと内面もそこに宿っているように思っています。


スタッフ(橋)この石、水っぽくもある。同じ緑色でも孔雀石なんかだとなにか真武さんにとっては強すぎるのかな。

スタッフ(平) 白い体毛にこの澄んだ感じの石の色がなんとも言えず神秘的で清らかです。


真武 ふつうに二重象嵌にすると表情の強さは出るのですけれど、もう少し見る側から感情移入できるような、見る側に寄れるようにしたいと思いながら作っています。


スタッフ(平) 口がすごいかわいらしいです。


真武  猪の口も、けっこうよく見ると複雑な形なんですよね。わかりやすくデフォルメはしました。
かわいらしいとか、また意志強いとか、幼い感じにも見えたり、角度によって印象が変わるようにしたいと思って作ってました。


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スタッフ(平) 石を使う狙いというか、瞳の中にいろいろなものを込めたいという気持ちがあるのですか?


真武 瞳って、外の世界の映るし、自分の内面も語る大事な部分。
前回制作のオサガメの根付では、オパールで瞳を作って、海の青さ、オパールは光の加減でグリーンになったり青になったりで、目が語るものになったらと思って使っていました。


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スタッフ(平) 根付作家さんでは、目の表現にいろいろ込めるというのは珍しいかと思いました。


真武 根付は、古典も現代も、題材で意味をつける、洒落になっていたり、、、という、それとは別のところでなにかできないか?という気持ちがあります。


スタッフ(平) 中梶さんはジュエリーの基盤、石(宝石、貴石)の知識があるので、強味があるなと思います。


真武 目に石の組み合わせの効果を確かめるために、いくつも削って嵌めてを繰り返してみたりする時もあります。



スタッフ(橋) この猪、牙が片方が折れているように彫ってますね。

真武 この猪が、ただ生きてきたのではない物語や歳月などを込めているもの、重ねているものにしたいというのがありました。左右対称でない構図になるようにも考えました。

スタッフ(平) この作品、かなり左右が違ってみえますね。左右それぞれの写真だけをもし見たら、2つ作品があるのか?と思ってしまいます。ギャラリーの2019年の年賀状では、左右両方の面が見ていただけるようにデザインしました。

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真武  毛の流れや彫りの深さもかなり変えています。優しく穏やかな静かな感じと牙も折れている激しい面を作りました。


スタッフ(橋)大きさも気をつかいました?

真武  サイズ感は気にしました、小さすぎず、大きすぎず。

スタッフ(橋) 干支ということで、今年はみなさんが猪を彫るので。

真武 古典も現代も、いろいろ調べました。定番の構図があると思うので。

スタッフ(橋) どちらかというと、齋藤流のフォルムですね。

真武 そうですね。昔、美洲さんと二人展をした時に作った水牛の根付のフォルムを思いだしたりしながら。美洲さんがご覧になったらなんて言うかわからないですけど(笑)


スタッフ(平) 猪の尻尾って、、、、、

真武 じつは尻尾は、実物より長くて大きくしてます。ホントの猪はプリッとちっちゃいです。何か長生きしてる普通の猪ではない感じにしたかったので。神様のような存在として彫りました。
いつも、動物を彫る時は、動物を作っているのだけれど、他の何かになるようにしたいと思ってます。

   

スタッフ(平) 皮の部分が良い感じにでてます。長く生きてきたという演出につながってます。

スタッフ(橋) 鹿角のス(角の髄の部分)も、本当にちょうど良いところに出てる。

真武 今回、素材が、けっこうギリギリ、ほぼ、この大きさと形だったので、だいぶ材料を見て考える時間が長かったです。
どうにか「ス」や皮目なんかも上手く活かそうとしていました。
石を使っていることでも共通するのですが、手じゃ絶対できない素材の天然の魅力があって、そこを何かしら上手く使いたいといつも思っています。



スタッフ(橋) シンプルな動物の根付も、魅力ありますよね。

真武 素材の魅力と、作り込んだ箇所と、そして作り手の手跡が残っているような作品ができれば良いですよね。挑戦していきたいです。

スタッフ(橋・平) いろいろお聞きできて、良い機会となりました。ありがとうございました。


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根津の根付屋/中梶真武作品アーカイブ2018「伊吹山」にて、作品の多角度写真など御覧いただけます。

「伊吹山」作品紹介ページはこちら!
  1. 2019/01/28(月) 13:19:01|
  2. 中梶真武(神奈川)

作家便り「18年9月 /中梶真武(神奈川)

中梶です。
少し前になりますが、三菱一号美術館で開催中の「ショーメ 時空を超える宝飾芸術の世界」に行ってきました。

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先に行かれた方々の感想で聞いていた通り、ディスプレイが凝っていて陰の落ち方など雰囲気が出ていてよかったです。
あえて展示品に当てる光を抑えているような部屋もあり、その中で煌く宝石、金やプラチナで作られた枠の輝きは、
夜の光の中ではこんな感じで見えるんだろうなと想像しながら見られた事が新鮮でした。

僕の周りでは1800~1900年代の品の方が良いという意見が多く、
自分も使っている石や、枠の作り、留め方など面白いと思うのはその辺りの品でしたが、
現代の作品、特にティアラなども全体のまとめ方が上品でとても素敵でした。

ダイア、ルビーなどを使った物の他に、半貴石を使った作品も多く、
それらも興味深く見てきたのですが、その中で石を上手く使う難しさも改めて感じました。
自分の作品で石を使う時も、ワンポイントで使うだけで印象が大きく変わるため、
ただ模様や色が面白い石を使えば良いという事でもありません。
そこが難しく、またどう使うかを考えるのが楽しい所ですが。

今回のショーメ展だけでなく、ハイジュエリー系の展示などに行くと特に思うのですが、
美しさというのはそれだけで強さであり正義だなと。
自分の作品でもそのように感じてもらえるものを作っていきたいです。

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これらは撮影可の部屋に並べられたティアラの試作品です。落ちる影も美しい!
これだけでもかなりのボリュームでいくらでも見ていられました。

もうすぐ終わってしまう展示ですが興味のある方は是非行ってみてください。
僕も会期中もう一度見に行く予定です。

三菱一号館美術館
ショーメ 時空を超える宝飾芸術の世界
―1780年パリに始まるエスプリ
2018年6月28日(木)〜9月17日(月・祝)
https://mimt.jp/chaumet/
  1. 2018/09/10(月) 09:00:01|
  2. 中梶真武(神奈川)

作家便り2018年7月 中梶真武(神奈川)

中梶です。
暑い日が続きますが皆さんいかがお過ごしでしょうか。
僕は仕事場が古い木造アパートなため冬は寒く、夏は物凄〜く暑いので、
この時期は鋸や鑢仕事などをすればあっという間に汗だくになっています。

そんな仕事場に春先辺りからお仲間が増えました。

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ニシアフリカトカゲモドキというヤモリです。


幼い頃、恐竜好きからの爬虫類好きで、ミドリガメから始まり、グリーンイグアナ(なぜか祖母の庭の木から落ちてきた!!)を飼育していたのですが、
根付のモチーフを探している時に調べたり、花影抄にいるヒョウモン様を見せてもらったりしているうち、
また生き物を飼いたいなという気持ちが少しずつ大きくなりお迎えしました。

特にモチーフとして観察するためというつもりもなく飼育し始めたのですが、
やはり生の動きを観察して、ちょっとした仕草、柔らかい体の曲線などは
作るものに良い影響を与えてくれているように感じます。
少し前に作った「蠑螈」という根付を作る時は体の流れなど、とても参考になりました。

今ではもう1匹増えて仕事の合間に眺めたりして良い気分転換になってます。

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写真はケージ掃除の時に手に乗せたらグイグイと腕を登ってきてなぜかここで落ち着いている図。です笑
  1. 2018/07/31(火) 12:06:09|
  2. 中梶真武(神奈川)

作家便り「18年4〜5月 /中梶真武(神奈川)

こんにちは、中梶です。

先日、横浜ワールドポーターズで開催されていたミネラルフェスタに行ってきました。
このイベントにはここ数年、仕事場からすぐに行ける距離なのもあり毎回行っているのですが、
回を重ねる毎に賑わいも増しているように感じて、グルっと回りながら見ているだけでも楽しめました。

カットされた物から原石まで、ブースごとに取り扱っているものは様々です。
今回は珪化木と黒曜石をメインに面白い表情の石を選んで入手してきました。
いつも根付の瞳の象嵌などに使っている、透明感のある水晶やアメジストなどのキラッとした美しさとはまた違った渋い魅力がありますね。
こちらの方は象嵌などのポイントで使うというよりも彫刻向きの素材かもしれません。
加工せずそのままでも美しいのですが、彫って磨いてと手を加えて行く中で思いもよらない表情を見せてくれるのが面白いところです。

今はこれらを眺めながらどのような作品にしていこうか考えていて、
やっぱりこの時間は物を作る上で本当に楽しいことの一つだなといつも思います。

自分の作りたいものと材料がパチッと合わさるタイミングがあるので、
石材もしまい込まずにいつも目に入るところに置いているのですが、
数が増えて来てそこら中にゴロゴロと転がっているカオスな状態なのでそろそろ専用の棚を用意せねば…です!

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珪化木
木化石とも呼ばれますが字の如く長い年月をかけて木が石化したものです。物によってはしっかり木目が残っていて硬さもあるので磨けば良いツヤが出そうです。もっと大きなものもありますがこれもなかなか!
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黒曜石
よく見かける真っ黒なものとは違い赤茶っぽい部分とマーブル状になっています。彫ったらいい表情になるのでは。
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  1. 2018/05/06(日) 21:01:11|
  2. 中梶真武(神奈川)

作家便り/ 「2018年2月/中梶真武 (神奈川)」

お久しぶりです、中梶です。

今回は根付制作の合間に少しずつ進めてる宝石彫刻のお話を少し。

今はアゲートの原石を加工して蛸を作っています。メノウと言った方が聞き覚えのある方も多いのではないでしょうか。
原石の時点でちょうど掌に収まるくらいの大きさで表面の質感も面白い石だったので、それを残しながら形を出しています。

昨年、宝石彫刻の作品を展示していた際に根付として使えるような作品も見てみたいとのご意見をいくつか頂き、
自分自身もやってみたかったので今回は紐通しも有りです!

アゲートに限らずジュエリーなどに使われている多くの宝石は硬度が高いため、
根付の材料としている鹿角や黒檀などに使っているヤスリなどの工具ではなかなか加工が出来ません。
そのためダイアモンド工具をメインに形を出していくのですが荒彫り以降になると市販の工具では手が届かない部分も出てくるので、
既成の工具を改造したり、一から作ったりして試行錯誤しつつも楽しみながら進めています。

彫刻も仕上げの磨きも普段の制作と比べるとかなり時間がかかりますが、石を使うことの面白さも大きいですし、
自分なりに一つずつやり方を確立していけば色々なことが出来そうです。


ちなみにこんな感じで進行中です!


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  1. 2018/02/20(火) 16:21:55|
  2. 中梶真武(神奈川)
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