根津の根付屋 & Gallery 花影抄 blog

東京・根津にある主に現代根付、立体作品をご紹介しています、Gallery花影抄のblogです。
展覧会や取扱作家情報などを発信しています。

作家便り 「2018年2月/かぶ (東京)」 

ご無沙汰しております。かぶです。
久しぶりの作家便りとなります。

先月の事になりますが「愉しむ 和こもの展」に参加致しまして
根付二点と和装小物を数点を出品しました。
その根付のうちの一点について。

題名「寒中丑紅」
先年の事になりますが、伊勢半本店紅ミュージアムという
江戸時代から続く紅を扱っているお店での「近代香粧品なぞらえ博覧会」
という昔の化粧品パッケージの展示を見て来ました。
江戸時代の化粧水は徳利を小さくしたような陶器製の器に入れて売られていて
素材は違えど、江戸時代の人も同じように美容に気を使って
工夫していたのだな〜と思いました。
「近代香粧品なぞらえ博覧会」は企画展でしたが
「寒中丑紅」については伊勢半本店紅ミュージアムの常設展で展示されていて
その丑がとても根付的に見え、作りたくなりました。

かぶ「寒中丑紅」は、webサイトでご覧いただけます。

江戸時代の暦で寒の時期に作られた紅は発色が良いとされ
この時期に紅を求める女性が紅屋に並んだとの事。
浮世絵で赤い幟のある店が描かれたりしているのですが、それは紅屋の印だそうです。
その時期、紅の購入金額などにより色々な丑の置物が配られていて
その丑の置物の下に座布団を敷いて神棚に供えて拝むと
その年一年は着る物に不自由しない、と言われ人気を集め
江戸の風物詩として「寒中丑紅」と呼ばれていたそうです。
(伊勢半本店紅ミュージアムの記述を参考にしています。)

今回、この根付にはお手製の座布団を付けました。
使っていない間は、ぜひ座布団の乗せて飾って頂ければと思います。

風物詩と言えばこの間、浅草寺節分会に行って来ました。
節分と言えば豆まきですが、その時期、花街では“お化け"と呼ばれる行事があり
芸者さんや幇間(太鼓持ち)さんが思い思いの仮装をしてお座敷を盛り上げるそうです。
浅草寺節分会では、芸者さんや幇間さんもその仮装の衣装で豆まきをしてくれます。
昔から続く風物詩の一端を覗く事が出来、後ろの方で豆が取れなかった私にも
豆を配って頂けて、久しぶりに節分のお豆を食べたのでした。

20180203170731_p.jpg
  1. 2018/02/10(土) 21:30:44|
  2. かぶ(東京)

作家便り「17年9月/かぶ(東京)」

八月の終わりから九月の始めにかけて、京都に行って参りました。
(普段はー人で作業机に向かい悶々としながら製作をしておりますので
たまの旅行となると色々と書いてしまいました。
少々長いですが、宜しければお付き合い下さいませ。)

先ずは「京都 清宗根付館」へ。
自分の昔の作品が見られる、根付師としてとても糧になる場所です。
その後、近くの隼神社、元祇園梛神社へ。
スタッフのKさんはいつもここでお詣りをしてから清宗根付館へ行く
という事で、私も倣い、お詣りをして御朱印も頂いて参りました。

翌日は青蓮院門跡へ。
陽があたると少し暑い日でしたが、そこここの障子が開け放たれた中で建物に風が吹き込むと
葉や枝の鳴る音、蝉の声などがとても涼やかに感じました。

知恩院の大きな三門を見て、その後は白川沿いを歩き、並河靖之七宝記念館へ。
白川沿いは一度歩いてみたいところでしたので、嬉しかったです!
並河靖之七宝記念館は庭に琵琶湖疏水を引いた池があります。
その水で七宝の研ぎを行っていたとの事。
昨年、三ヶ月ほどの短い間ではありますが七宝焼きを習いましたので
より並河靖之の有線七宝の凄さが分かり感嘆致しました。

食べてみたかった大極殿栖園の“琥珀流し”を食べ
半年ほど前から習っている日本画のために彩雲堂さんで筆を買い
清水三年坂美術館で「矢立と煙草入れ」の展示を見て、京都を満喫。

今回は宮川歌舞錬場という舞妓さんや芸妓さんが踊りを披露する場所で
小唄を聴くという貴重な機会にも恵まれました。
三味線、琴の他に小唄振りという踊りまである会で、大変面白くまた勉強になりました。

以前に京都のお客様からご注文を受けてお作りした「ふくねこま」にも会え
折を見てまた訪れたいものだな~と帰って来て早々思います。

中々日常生活に戻るのは大変ですが、また行けるように製作を頑張ろうと思いました。

kabu_blog_20179_1.jpg

kabu_blog_20179_3.jpg

kabu_blog_20179_4.jpg


kabu_blog_20179_5.jpg

kabu_blog_20179_2.jpg


  1. 2017/09/06(水) 22:15:27|
  2. かぶ(東京)

作家便り「17年11月/かぶ(東京)」

1/21から始まります「愛でたい和こもの展」に参加致します。

20170114152927_p.jpg

ひとつ目は三階松の家紋を少しアレンジした提げです。
三階松の高さを出そうと霊芝雲を加えてみました。
反対側には、家紋の梅鶴が彫ってあります。
梅と鶴を組み合わせてしまうというところがとても斬新で、しかも可愛いので気に入っている家紋です。
側面は市松文様にしました。茜と藍を混ぜた染料で染めています。

ふたつ目はふかふかのお座布団の上で寝ている猫です。
誰か来たな♪とちょっと目を開けて見ているところです。
座布団は約二センチ角なので、猫は極小サイズです。

みっつ目は、昔から好きで作っているフォルムの猫「立猫」です。
いつから作っていたんだっけ?と調べてみましたら、こんなブログがありました。

http://kabunekoseisakusho.blog118.fc2.com/page-1.html
(こちらのブログの作品につきましては、掲載のショップにて現在は取り扱っておりません。)

昔、ほんとにほんの一時だけ書いていた私のブログです。
もう何年も更新しておりませんが、まだ残っているんですね~。

これを見ると2004年に初めて作ったようなので、もう13年も経ってますね!

この「立猫」は以前に飼っていた三毛猫がモデルです。
私はその三毛猫のすがたかたちが大好きで、なんとか作品にしたいな~と思って作ったのでした。
思えばこれを作った事が、私が今根付を作っている事に繋がっているのかもしれません。 

この他、二~三点を出品する予定でおります。

昨年は私事ながら色々あり刃が捗りませんでしたが、今年はもう少しペースを上げて
作って行ければな、と思っております。

本年も何卒宜しくお願い申し上げます。
  1. 2017/01/17(火) 21:50:00|
  2. かぶ(東京)

作家便り「16年11月/かぶ(東京)」

「秋の夜長の声明」

[平安の秘仏ー滋賀・櫟野寺の大観音とみほとけたち]という展示を見て来ました。

本当は[驚きの明治工藝]展を見るつもりだったのですが
私の勘違いで、行った時にはこちらの美術館はもう閉館時間でした。

私はこういう間違いが多いので、チェックをしてから行くようにしているのですが
チェックをして行かなかったら、やっぱり閉まってたか・・・と。

さてどうしようと思いながら、上野駅の方向に歩きだしだのですが
そういえばトーハクなら夜間開館をしている日もあるなと思い
前まで行ってみたところ、見ようかな~と思っていた
[平安の秘仏ー滋賀・櫟野寺の大観音とみほとけたち] のポスターが見えたので
予定を変更してトーハクに行って来ました。

そうしたら、この日は[「天台聲明七聲會」による聲明(声明)公演]というイベントがありますとのことで
せっかく間違えて来たのだからと、声明を聴いてきました。

20161007191631_p.jpg

その日はちょうど秋の風が吹き始めた頃でした。
陽が沈んでトーハク本館の壮麗な建物がライトアップされる中で
歌声のように声明が流れて、この日は思いもかけず
良い秋の夜長を過ごす事が出来ました。

後日、[驚きの明治工藝]展も無事に見て参りました。



  1. 2016/11/02(水) 20:11:42|
  2. かぶ(東京)

作家便り「16年8月/かぶ(東京)」

暑い日が続きますが、どのようにお過ごしでしょうか?
今が盛りと蝉も鳴いていますね。

先日、夜も更けてから、窓のすぐそこで「かなかなかな」と鳴く声が聞こえました。
「かなかなかな…」と鳴くこの蝉を、私は「かなかな」とその鳴き声のままに呼んでいましたが
この蝉は「ひぐらし」の事だったんですね。
「ひぐらし」の鳴き声を聞くなんて、久しぶりの事でした。

子どもの頃、夏休みになると母親の実家に遊びに行っていました。
母親の実家は農家で、母屋は茅葺き屋根に広い土間、高い天井に真っ黒になった太い梁。
部屋の周りをぐるりと囲った濡れ縁に寝そべって、庭に咲いている夏の花々を描きながら
井戸水で冷やしたスイカを食べ、暗くなれば花火という
今にして思えば、絵に描いたような夏の曰を過ごしていました。

ちょうどお盆の時期でしたので、回り灯籠の青い灯りが部屋をぼんやりと照らしていて
夜更けになると虫の音以外は聞こえず、回り灯籠につられて動く影に、怖い思いを抱いていたものです。
裏庭にはスイカ畑があり、幽霊が出るよとからかわれ、昼間でもその畑を見ないようにと
裏庭が見える窓をよけていました。

お盆の時期でしたから、お墓参りに行くのですが
母親の実家の方では、日が落ちて暗くなってから行くのが習わしでした。
その曰になると白い浴衣を着て、蝋燭の火がちらちらと瞬く赤色の提灯を手に持って
土葬のお墓に行くのでした。
回りのお墓からもぽつぽつと赤い提灯の火が見えて、ほんとうなら怖いはずが
いつも何故か、わくわくとしてお墓参りをしていました。

その後何年かして、茅葺き屋根の母屋は現代的な家に建て替えられ
母親の実家に泊まりに行く事もなくなってしまいましたが
でも今でも「日本の夏の湿った空気」の原風景として、あの頃の私があるのだなぁと
かなかなの声を聞いて、まざまざと思い出したのでした。

まだしばらくは暑い曰が続くようですね。
皆様、お体にお気をつけて、お過ごしください。

先月、不忍池で撮影しました。

20160721180600_p.jpg
  1. 2016/08/10(水) 17:31:48|
  2. かぶ(東京)
次のページ