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根津の根付屋 & Gallery 花影抄 blog

東京・根津にある主に現代根付、立体作品をご紹介しています、Gallery花影抄のblogです。
展覧会や取扱作家情報などを発信しています。

作家便り 「2019年8月/かぶ (東京)」 

9月のギャラリー花影抄での企画展「海の幸山の幸展」に参加致します。
色んな作家さんが参加されるグループ展に展示が出来るのは、有り難い機会です。

今回のテーマは海の幸山の幸、と聞いた時に
さて何を題材にしようかといくつか考えましたが
高尾山にする事にしました。

去年引っ越しをしまして今は高尾山の近くに住んでいます。

高尾山にはちょっとした縁があって、うちの初代三毛猫が亡くなって
とても落ち込んでいた時に、元気出して!と誘われて行ったのが高尾山。
 
清滝駅前の広場にあるムササビの像を見て「ムサ太郎の一日」という根付を作り
京都清宗根付館の第1回ゴールデン根付アワードの新人賞を頂いたのでした。

その高尾山の近くに住むという事になり
やっぱり私と根付にとってのなにか縁があったのかしら、と。
なので、今回は「高尾山で会えたら幸せ」をテーマに根付を製作する事に致しました。

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鳥や虫やモグラ穴やら、自然を近く感じます。
そのせいで困る事もありますが夕方、涼しくなってくると
大合唱のように聞こえてくる鳥や虫の鳴き声が心地の良いところです。
  1. 2019/08/19(月) 19:00:00|
  2. かぶ(東京)

作家便り2019年8月/「老根付師 徒然草 葉月」 齋藤美洲(埼玉)

梅雨、平年並みに明け、百日紅も一斉に爛漫。
忍び音の絶えぬ夏に季節は移る。
ただ、あと十日もすれば、暦は立秋。
虫の声を探しながら秋を待つ。八月二日記。

この一ヶ月は、様々なことが公私を問わずにあり、駆け抜けたという感じ。
中でも、長年親しかったグループの一人が逝った事。
同年故に哀情もひとしおで、只今人の世の無常を実感している最中。


 時代と環境
久々に、桜井英之氏と会食。
氏は本年78歳になるが、外出の際は一万歩以上を目安とする元気。
加えて思考も昔ながらで、年寄りじみてない。
親交五十年を越えた仲である故に会話は尽きず、もしここに次代を担う
若き根付師が同席していたならば、大いに参考となったであろう。

根付彫刻会発足以来、数々の新しい企画や展示会等の活動は、
二人での話合いの場から発案されたものが多く、
それを実現するために我々が会での説得を始め、
奔走したことも多かった。今や遠い昔話になったが、
現在の根付師の在り方を考える一助になるかも知れない。

その様な中、前回ブログに、若い根付師達に
根付について語り合う機会を設けなさいと書いたが、
我々の時代と現在では、環境がだいぶ違うことに気付かされた。
我々が他作家の作品を観て学ぶことが出来たのは、
象牙彫刻会のおかげであった。

私が入会したのは二十歳の頃であったが、作品を見せ合う会に始まり、
毎年の象牙彫刻会展において、自分と先輩たちとの技術差を痛感したものだ。
なにせ明治生まれの先生方も多く、象牙彫刻全盛期を経た作品には、
学ぶというより、自分には出来るのであろうかとショックさえ受けた。
初代美洲を知る先生方に優しく接して頂きながら伺った話は大変参考になった。

一例を挙げれば、人物を先生方に見せた場合。
「この着物の素材は木綿?絹?それとも麻?」等と問われ、
町娘と芸者を例にとって、綿と絹のプロポーションの差、
袖や腰から下のシワの違いを教えてくれた。
和装を町中で見かけなくなった今日では、こんな事を意識する人はいるだろうか?

私たち当時20代の作家にとって、諸先輩はその作品、その会話が
全て宝の山と思えるほどで、その後の修業のための教科書となった。
この時代と環境の差を変えるのは不可能であるが、
若い人にはひたすらエールを送り続けたい。


 年寄りにも修業
二月、75歳の個展を終え、一息ついたところで、私の古典理解を探る為、
オマージュとして、尊敬する何人かの作風を試みてみた。
20代の頃、古典のコピーで根付の基本を学んだ時の様な
ワクワクした気持ちで楽しんだ。

五月に入る頃から、その興奮が薄れてきた。
制作中、脳内に、昔掌中で観た名品が浮び上り、オマージュ故に
自分のオリジナル性を加えた作品という自負に疑問符が現れた。
我が技量では脳内に焼き付いた名品には及びもつかない事、
我が楽しみは自分のオリジナル性ではないのかという事、
老い故の発想の欠如からの逃避ではないか等々、思い悩み、
多少鬱になった。こうなると毎日が虚しくなる。

そこから抜け出すことが出来たのは、親友が与えてくれた
中島敦(皆さん知らないと思うけど)の本のおかげである。
中国古典を主題にして、自分の思想を語ったのが特長である作品が多い。
その古典は私が若い頃熟読したものであり、青春時代の気分に帰らせてくれた。
お陰様で心が晴れ、次なる課題に向かうことが出来た。
オマージュ作品を作る事は、古典を如何に理解し、
その中から自分を探り、発見する事だと。
オマージュ作りはその意味で無駄ではなく、
与えられた私の修業だったとの思いに至らせてくれた。
親友に感謝!!

次に何をと考えていたところ、40歳の自分の作品を試作にした。
依頼されていたが、気が重くなる仕事だった。
これまた、修業と作り始めた。
この時代の根付は大ぶりな作が好まれ、材料も象牙であったが、
今回は現在許されている材を使用した。
鹿角、カバ等制約のある材は同じ形にはならないが、古典オマージュ同様、
作品の持つ雰囲気と造作と技量を保つべく、仕事場に居る。
オマージュと違い解放感が心地良いが、外は燦々たる陽射し、陽射し!!

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  1. 2019/08/17(土) 19:09:14|
  2. 齋藤美洲(埼玉)

夏季休暇のお知らせ

-- 残暑お見舞い申し上げます --

Gallery花影抄は8月10日から15日まで夏季休暇をいただきます。

休暇中はお電話でのご対応はできませんが、メールは確認はしております。
お返事が少々遅れることがあるかと思いますが、お問い合わせは
メール(mail@hanakagesho.com)にてお願い申し上げます。

8月は16日から金土日と営業予定になっております。
詳しくは営業カレンダーをご覧ください。

梅雨明けから猛暑続いておりますが、皆様どうぞご自愛ください。
  1. 2019/08/10(土) 14:16:26|
  2. 店舗営業のお知らせ

作家便り 「2019年8月/金井麻央(神奈川)」 

ご無沙汰しております。金井です。
大変暑い日々が続いておりますがいかがお過ごしでしょうか。
だいぶ前になりますが、6月上旬にクロアチア、ボスニア・ヘルツェゴビナへ旅行に行きまして、
その時のことを書かせて頂こうと思います。

日本だけでなく、ヨーロッパも今年大変な猛暑であると
ニュースにもなっていますが、バルカン半島も6月から40℃越え、
2週間ほどの旅行中、後半は初めて体感するような酷暑でした。
炎天下の中、ボスニアのモスタルで小さなモスクを
外でスケッチしていましたが、途中でクラクラしてきてしまいました。
一方で石造りの教会やモスクの中はひんやりと涼しく、
湿度が低いので日陰もそれなりに涼しかったです。

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ボスニア(モスタル)の小さなモスク

そんな厳しい暑さの中、急性胃炎になり二晩寝込んだり、
海外での慣れない運転、国境付近で自分たちの下手な英語が全く伝わらず、
警察官に叱られたり(怖かった〜汗)…終始心休まらぬ珍道中でした。
無事帰国できてよかったです笑

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アドリア海の真珠と称されるクロアチアの街、ドゥブロヴニク
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なぜバルカン諸国を訪れたのかと言いますと、
アドリア海や旧市街を見たい、というのもありましたが、
私が第一に行きたかったのはボスニア・ヘルツェゴビナでした。

2017年の国立新美術館のミュシャ展でスラブ叙事詩を見たこともあり、
以前からこの地域の歴史に興味がありました。
ミュシャはチェコ出身の画家ですが、スラブ叙事詩の
制作にあたりボスニア・ヘルツェゴビナを訪れています。
そういう理由で、漠然と行ってみたいという気持ちがありました。

旧ユーゴスラビア、宗教、民族、人種問題…
島国でのんびり育った人間にはなかなかに難解で、
わかりやすい書籍を読んでみたり映画を観たりしたものの、
「民族浄化」など知れば知るほど重い気持ちなる言葉だけが頭に残り、
スラブ叙事詩が描かれた背景を知るにはまだまだ時間がかかりそうです。

わかったことは、悲しい歴史が本当に長い間繰り返されてきたということ。
小学生の頃(90年〜2000年代)、世界各地で勃発している
内戦や内紛に関する新聞記事をスクラップしていた時期がありましたが、
恥ずかしながら、どこか遠い国の出来事…としか捉えられていなかったように思います。
近年まで戦火の絶えない地域だったこともあり、旅行中戦争の爪跡を多く見かけました。
それは単純に銃弾の跡だけではなく、人々の異人種に対する視線からも感じられました。
ミュシャがスラブ叙事詩で後世に伝えたかった想いは…と考えてしまいました。

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クロアチア紛争博物館

長文になってしまいましたが、読んでくださりありがとうございました。
ヨーロッパの人達がバカンスで訪れるような国なのですが…
後半少し重い内容になってしまいましたので続きはまた次回に。


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エメラルドグリーンのアドリア海

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宿の部屋まで案内してくれた黒猫
  1. 2019/08/09(金) 14:00:00|
  2. 金井麻央(神奈川)

作家便り 「2019年8月/中梶真武 (神奈川)」

お久しぶりです中梶です。
梅雨も明けて毎日暑いですが皆さんいかがお過ごしでしょうか。

ここ何回かはブログで工具の話をしていたのですが、
先月とても面白い展示を見てきたので
今回はそのお話をさせてもらおうと思います。

ロエベファンデーション クラフトプライズ2019の
ファイナリストの作品が青山の草月会館内、
イサム・ノグチの石庭「天国」に並べられていました。

「クラフト」の重要性を世に問い、それらを作るアーティスト達の
評価を目的としたコンテストということで、陶磁器や宝石、金工、
漆、木工など様々な素材、技法で作られた作品が
展示されていたのですが、どれもが素晴らしかったです!

確かな技術と時間をかけて作られた作品というのは見てわかるのですが、
それだけに寄りかかっていないというか、
それはそれとして作品自体が美しいものばかりでした。

展示会場も高低差のある空間で
様々な角度から作品を観ることができたのも良かったです。

展示作品には形の出し方であったり、仕事の過程がストイックで
自分の好みのものが多く、とても刺激を受けました。

根付となると細かな細工であったり、具象的な作品になりがちですが、
それだけでなく素材自体の面白さであったり、
全体の形の美しさなどを重視したものも
何か作りたいなと改めて考えています。

それが根付になるか、それ以外のものになるかわかりませんが、
用途があって手元に置いておきたくなるような
何かを作り出していければなと。

クラフトプライズ、この先日本での作品展示があるかはわかりませんが、
毎年開催されるようなので今後も観ていきたいです。

展示自体は終わってしまいましたが検索すると色々出てくると思うので
興味がある方は調べてみてください。

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作品紹介のパンフレットもなんだかおしゃれでした♪閉じ方とか。
  1. 2019/08/08(木) 14:38:44|
  2. 中梶真武(神奈川)
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